Chico

孤独のススメのChicoのレビュー・感想・評価

孤独のススメ(2013年製作の映画)
4.3
思ってもないところで宝物を見つけてしまった。しかもなんかおかしいやつ。見せびらかしたいけど隠しておきたいようなヘンテコな宝物。タイトルと予告からはなんだか想像もつかない話でした。オランダのコメディ(ファンタジー)映画です。

「演奏はむずかしくない。正しいときに、正しい鍵盤をたたけばいい By J・S・バッハ」
映画冒頭のテロップを引用しておきます。

あらすじ
妻に先立たれ一人孤独に暮らすフレッド。物静かで几帳面なフレッド。街の人々との交流もなく、決められた時刻にご飯を食べ、毎週日曜に教会に出かけ、時々スーパーに買い出しに行く。そんな単調な日々を送っていたある日、近所にあやしい男が出没する。わけあってその男、テオを家に招き入れることに。言葉を話さないテオは自分がどこから来たのかわからない様子。フレッドは帰る宛てのない彼を家に泊める。その日からテオはフレッドの家にいつくようになり、静かで単調なフレッドの生活に波風が立ち初める。

ストーリー語るのが上手い、見せ方が上手い。薄黄色のレトロな画面。主人公フレッドの人物像を具現化したように整然と立ち並ぶ並木道、同じような外見の家々。この色あせた世界が色を帯びてくる様子が、フレッドとテオとの交流、周りの人達に広がっていく愛の連鎖によって描かれる。
フレッドが大切なことに気づき窮屈だった視界がぐーーーーと広がるラストにどこか可笑しいのに(なぜか)涙が出てきました。

原題は「マッターホルン」フレッドは、神様に一番近い場所、と言っています。

大きく息を吸って吐き出した後のように神経がリラックスしていき、じわりじわりと幸福感に満たされていく。少し寂しい時に、じめじめした雨の日のお供に。気持ちがフワッと軽くなる映画。

テオはたぶんおじさんに姿を変えた妖精です

この映画に共感できる人と話が合いそうな気がします(笑)
Chico

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