CCC

孤独のススメのCCCのネタバレレビュー・内容・結末

孤独のススメ(2013年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ふしぎな映画だった。教会、バス、電気、写真はあるけれど、携帯電話だとかテレビだとかは出てこない。コンピュータや旅行代理店はあった(後半出てきたコンピュータに少し違和感を覚えてしまったのは事実)。羊や馬?はいる。時代背景をわざと明確にはしていないらしく、そこに普遍性を見出せ、ということなのかもしれない。人が他人を愛する普遍性というのは宗教に縛られないし、性にもとらわれていない。

その分野に明るくないのではっきりとはわからないが、テオはハンデを背負ってるのかもしれない。饒舌ではないそんな彼と過ごすうちに主人公のフレッドは大きく変わったのかも知れないし、あるいは小さな変化なのかもしれない。フレッドは、おそらく敬虔なキリスト教徒(宗派は映画を見る限り分からなかった…)であるがゆえに「ソドムとゴモラ」と言われたことに憤慨し子供殴りつけてしまう。日曜には教会へ通っているし、毎時間きっかりに食前の祈りも捧げている。そんな彼がいつも通っている教会で、誤解から生まれたテオとの結婚を「本物」にする(キリスト教徒が結婚をする際の手順を踏んだという意味)。
この変化を彼の成長と言わずになんと言おうか。人は凝り固まり醸造された常識をくつがえしてまで他人を愛す事ができること、克己可能であることの証明ではなかろうか。
個人的な好みではあるがどしゃぶりの真夜中に執り行う…というシチュエーションがツボ。雨は彼の内なる何かを流し去っていったのかな。
最後にテオと共にマッターホルン登頂するシーンと、息子にもう一度クラブへ会いに行くシーンは、わたしの涙腺を刺激した。フレッドのふたつの幸せを同時進行に描き出したこの場面は、映画前半でじんわりと映し出されたフレッドの変化の過程を綺麗にまとめあげ、圧倒的なマッターホルンの映像美と共に描ききった。
以前鑑賞したWalter Mitty のような美しい映像だった。
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