南森まち

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うの南森まちのレビュー・感想・評価

3.0
妻を交通事故で失った男。しかし悲しみが沸かず、自分が彼女に関心がなかったことに気づいてしまう。そんな自分への嫌悪や戸惑いを手紙にまとめて、自動販売機のメーカーのカスタマーサービスへ送り始める。ある夜、メーカーから電話がかかり奇妙な交流が始まる・・・というお話。

邦題は良さげに見えるけど、実は最悪の部類。これ事前に見せたらいけないヤツ…。原題は『Demolition』、「解体」の意味。タイトル通り、自分の人生を解体し再生するお話。

だが、びっくりするぐらい話がまとまっていない。主人公の数々の奇行、義父との軋轢、新たな恋愛等の話が出て、とってつけたように亡き妻の生前の話が出てくる。そっちがメインじゃないの!?個人的には自分勝手な話だと思ってしまったけど、このあたりは死生観の違いかな・・・。

ヒロインの設定もシングルマザー、性的マイノリティ、ドラッグ中毒などアメリカの問題をてんこ盛りにしていて、いかにも狙った感があるのも個人的には気に入らない。しかもその設定がストーリーに活きたとは思えない。

前半の冷たさを感じさせる映像や音楽が、後半に力強い破壊映像やロックに変わっていくのは、主人公の心の変遷を表しているのは素晴らしい。

どうでもいいけど、ヒロインのナオミ・ワッツと、その息子役のジュダ・ルイスが美形すぎてびっくりする。ナオミ・ワッツ一体いくつなんだよ・・・

監督のジャン=マルク・ヴァレは2021年12月25日ご逝去されました。ご冥福をお祈り申し上げます。