Mee

雨の日は会えない、晴れた日は君を想うのMeeのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

『失って初めて気付く事がある』とは言うが、デイヴィスは中々気付かない。

妻を本当に愛していたのか?
自分はこんなにも周囲に対して無関心だったのか?
前から薄々と感じてはいたが、答えが見つからないディヴィスは1度「解体」する事にした。
解体して、組み立て直せば自分の心に気付けるはずだと。
とにかく壊す、壊す、壊す。
家を壊す所はもう思い切りが良すぎてなんかもう見てるこっちまでスッキリした!

しかし、怪我はするし、手は痛む。
一見衝動に任せてスッキリしそうなもだが、苦しいものなのだなと感じた😢
何度もある雑踏に紛れるシーンは印象的!
周囲はピントが合わなくて、デイヴィスはクッキリ。
自分以外への関心の薄さがよく表れているシーン🎬
後半は周囲の目を気にせず音楽にノリノリで雑踏を掻き分けていくデイヴィス。
自分自身を壊そうとしたのかな。
防弾チョッキを着て銃弾を受けるシーンもハラハラした〜〜😨

そして表題「雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(⚠︎劇中では、「君を思い出す」)」の書かれたポストイットを車中で見るシーン。
中々ラストに近いここでようやく『自分は妻を愛していた』という答えに気付く!
メリーゴーランドのシーンで妻が後ろでデイヴィスの心臓をそっと触る所は、(妄想だけど)半分喪った心臓を埋めているようで、妻=感情であるが故に(妻を起点に自分に愛情はあるのか、そもそも他人に感情があるのか探っていくので、そう捉えた)やっと欠落した部分を補えたのだというか、自分の感情に向き合えたのだなという感じ。

いや〜〜しかし…長い!気付くの遅っ!笑
私が今まで観て来た映画の傾向として、妻が死んですぐに妻への深い愛情を再認識して苦しみ、そして紆余曲折の末に死を乗り越えるのパターンだけど、そもそものスタートが「本当に妻を愛していたか?」なのが斬新で面白かった👏
LGBTもそうだし、マイノリティの苦しみを描き出したかったのかな。
ともすれば理解が及ばず、全く感情移入できない苛立ちを覚えてしまうような主人公だけど、自分の感情に上手く向き合えないというのは凄く苦しい事だなと感じた。
そういう感想を持ってもう一度観ると、あの破壊シーンもより一層切なく見えてしまう…😭

「解体」ばかりが目立つ映画だけど、「組み直し」の部分も注目したい!
カレンに傾聴と共感をしてもらい、クリスとの交流の中で(精神年齢的に)後退し、心を癒していく。
本当は最初から無意識的に妻を愛する気持ちに気付いていたけれど、それに気付いた瞬間 修復不可能なまでに壊れてしまうから気付かないフリをしていただけなのかな。
それ程 必死に、もがいているように見えたからこそ私はデイヴィスに感情移入できたのだと思う。

あまり説明がされない映画なので、自分流の様々な解釈ができる魅力的な作品!
詩的な邦題も相まって、中々難しい映画ではあるけれども、見応え抜群😌

【追記】

メリーゴーランド→かけっこ1位エンド

に凄く意味がある!
徒競走で1位をとりたかったとか、割と1番に拘りがあるような描写があった。
しかし、解体するはずだったメリーゴーランドを直して、そこに笑顔で乗るデイヴィス、そして妻がそっと胸に手を当てて、本当の意味でデイヴィスは妻の死を乗り越え、自分の感情に上手く向き合った。
メリーゴーランドには順位も何もない、ただ皆平等に回る。
人生にはそういう時間も必要なのだという事に気付いた。
でも偏りすぎてもいけないので、ラストは順位づけ(かけっこ1位)、競争もまた人生に必要なんだという感じかな。

タイトル『雨の日は会えない、晴れた日は君を思う』。
あれはサンバイザーを雨の日は上げてるからポストイットには気付けない、だけど晴れの日は日光を遮断する為に下げるからポストイットに気付き、それと同時に妻を思うという事なのね!
う〜〜ん素敵だ。
Mee

Mee