思っていたのとは違っていたし、思っていたよりも心に刺さった
もっとメランコリックな悲哀、悲恋ものかと思っていたら、周りくどくはあるもののディスコミュニケーションを見事に描いた傑作だった
妻の死を悲しむことも向き合うことも出来ない男が、向き合うことから逃避し続けるも出会う人々、出会ったきた人々との邂逅の中で、周りの人々全てが、死んだ妻さえも他者としっかり向けあえてなかったこと
辛いことや現実と真正面から向き合えない弱さに気付いていく
自分は他者とどう向き合っているのか、そもそも自分自身が自分自身にどう向き合っているのか
理解のための分解と逃避のための破壊の区別なく行われる行為を淡々と描いていく
説教臭い答えも優しい出口もないが、他者との距離感や関係性の喪失感に悩む人には深く刺さる作品だと思う