すごくいい映画でした。
映像の効果はすごく派手な加工をしているわけではないと思うのですが、言葉にできないようなものが湧き上がってくるような気がしました。
例えば、かがりが帰宅し、部屋の向こう側にいる化粧台の母親とを隔てるブラインドが動くシーン。二人の距離感だけでなくそれを隔てるもの自体も不穏な状態にあることが暗示されているように感じました。それ以上に、ブラインドが自動でパラパラ動いているのがどこか不気味でした。
ゴンドラから都市を見下ろすシーンもよかったです。ゴンドラの上にいるという不安定な状態、対して地上には整然としたカフェテーブル、伸びる車の列、端正なプロポーションで折り畳まれた階段… これらのものに向ける眼差しを想像すると奇妙な気分になります。海のような、広漠のような…。
また観たくなる作品ですね。