キミシマユウキ

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分のキミシマユウキのレビュー・感想・評価

3.4
大手建設会社の現場監督を務めるアイヴァンはとある理由で翌日の重要な仕事に出れず、帰り道の車の中で様々な相手に電話を掛けるが…


今や『マッドマックス 怒りのデスロード』ですっかりお馴染みになったトムハーディ主演で、実は同じくらいの時期にひっそり公開していたというワンシチュエーションドラマ映画。
本日マッドマックスの4D上映を観に行き(劇場は三回目)その衝撃に感動したのでこちらも鑑賞。
(4DXの詳しい感想はTwitter:@swinder4649にて)
今日はトムハーディ祭り。

完全にアイディアと主演の演技力勝負な作品だった。
登場するのは車(BMW)と幻影的な夜の高速道路、そして髭がモジャモジャのトムハーディのみだ。彼が80分間ひたすら電話で話しているのを見せられるが、不思議と飽きることなくあっという間に終わる。それは電話のの中だけでこの主人公アイヴァン・ロックという人物の過去や性格、人間関係などを上手く描けていて、彼の人生の一部を切り取ったかのような濃い時間だからだ。仕事でも絶大な信頼を得て、家族への愛情も溢れた誠実&真面目なアイヴァンがこの数十分間の中でいかに追い詰められていくかを電話だけで表現する脚本はなかなかだ。
そもそもトムハーディのファンの方々ならわかると思うが、最近の彼は無口だったりクールだったり背中で語るようなキャラが多い。

例)
~マッドマックス ~
「ン”…・ン”ン”ッ…水クレヨ…」
(主に相槌)

~ダークナイト ライジング~
「俺がゴッサムのゴモゴモゴモ」
(マスクで何言ってるかわかんない)

~ウォーリアー~
「………。」シュッ!!ボコボコ
(とりあえず殴る)

といった具合の彼ばかり見てたので久々にその渋い声で喋り続ける彼が見れるだけでもたまらない作品になっているだろう。
ストーリーとしてはこれ以上は知らない方が映画の世界に入り込めると思うので説明はしない。
音楽も控えめで激しい展開も起伏もない。電話先によって変わりまくるトムハーディノ表情と声、そして少し寂し気な夜のハイウェイを楽しむのにはうってつけの映画だ。
その割に点数が低めになっているのには理由があるがそちらはネタバレコメントのほうで明かそうと思う。
(結構長いコメントですw)
まだ未鑑賞の方は大きな期待をせずに静かな夜に一人で観ることを推奨する。

トムハーディのファンの方、ワンシチュエーション系映画が好きな方、そして夜の高速道路を一人で運転して少し寂しい気分になったことがある方にはお勧めの作品。