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ディーン、君がいた瞬間のJIZEのレビュー・感想・評価

ディーン、君がいた瞬間(2015年製作の映画)
4.0
24歳でこの世を去った"早逝の天才"と呼ばれる新星俳優とLIFE誌の密着取材で付き添う研究熱心な天才写真家が"2週間の旅路"を通じ映し出すもう1つの実話譚!!年間ベスト入り確定!!死を弔い哀歌を謳う映画に思えましたね..終盤ある重要な場面ディーンが「再び故郷に帰らねば..」と俯き加減で2,3度反復し悟りを開いた姿勢で放つあの台詞が現在も尚頭を駆け巡り天才俳優の渋き生き様を通じ壮絶な余韻に浸っている..年の瀬に運命的な多幸性も併せ持つ最高な1本に感謝!..アントン・コービン監督最高!まずお話自体は居場所を見つけられず不安定な世界を彷徨う俳優と写真家の2人が出会った事で共通項を見つけその経験から次第に変化を遂げる,実直な成長譚orストック視点での人生譚だろうか。モノクロ対比やクラシカルで詩的な余韻も至高感が漂う美点に。本作は問題提起の中心,言わば孤独や葛藤をダウナーな影が残る風潮で抽出し内に抱える底知れぬ悲哀的な闇を両者が打ち解け補完し助け合う..まさしく時代が要求し待ち望む"必然の産物"なのかもしれない。物語の主軸も俳優ディーン視点より,むしろ写真家ストック視点で(話の推進力は)軌道に乗り友情(再生)や葛藤(亀裂)が揺れ動く複雑な経緯を辿りナチュラルに浸透し重厚的な余韻を帯び描写される。尺112分も彼の人生同様に本当一瞬である..実直な伝記映画でなく写真家(撮る側)と被写体(撮られる側)の人生が交錯する瞬間に光当てた距離感を巡る(お話の)構造が実に内側の掘り下げも的確で私自身も生涯何度となく観直す級の本当に大切な映画となった..全ての映画関係者に賛辞を贈りたい。歴史の経緯を忠実に辿り俳優と写真家が織り成すある特別な瞬間を切り取った素晴らしい映画だ!

開幕早々,オフビートな効果音を背景に赤色の蛍光灯が画面に接写され徐々に引き気味に画角を取り写真家デニス・ストックと共に写真現像の暗室が俯瞰的に固定され映し出される..赤色の色調から不安定な起伏の象徴とも一見読み取れるのだが,この静的な流れからロサンゼルスで有名なラジオ番組のライトニン・ホプキンスと名高い音楽家が「大人気のカントリー・ブルース」とし代表曲(予告でも起用)「I'm Wild About You Baby(お前に夢中)」が突如流れ出し場の空気が静寂な雰囲気から一転しストックが車で外に繰り出しOPクレジットが挿入される。ストック自身が抱え込む内側と外側の危うい対比もで場面の展開させ方が俊敏で完璧!シークエンス配し方に鳥肌が立った..この時点でこの作品に寄せた期待値は軽々と上回る。

概要。ハリウッドの伝説的スターであるジェームズ・ディーンと天才写真家デニス・ストックの若き日の友情を描く実話映画。監督は『誰よりも狙われた男(2014年)』のアントン・コービンがメガホンを取る。主演には『クロニクル(2012年)』や『ライフアフター・ベス(2014年)』の我等がデイン・デハーンと『トワイライト』シリーズのロバート・パティンソンがW主演を果たした。また本作は2015年10月24日,東京国際映画祭の特別招待作品とし上映され監督アントン・コービンが7年振りの来日を果たしました。

全体的にディーンが樽型の民族楽器コンガをご陽気な表情で叩き奏でる場面が映画全体を通じ観た方なら共感して頂けるよう特段に印象深い。特に彼が自然な笑顔を見せる数々の場面でストックがシャッターを切るまさに彼がディーンの真に秘められた内側を覗く(2人の双方向的な意識が交錯する)瞬間は何事にも代え難く。普遍的な人生に輝きを見出す2人の優美な表情は仮面で繕った意識を除外してるだけに惹き寄せられ微笑まずにいられない。2人が初めて出会いを果たすニコラス・レイ主催パーティ場面でもプールサイドで2人が淡々と自己紹介な会話を交わしLIFE誌の密着取材を申し込む場面。初対面な筈がどこか親近感すら感じ取れ問題を提示し変に間を取らないスムーズ感やストックがフォトプレイを啓蒙がさなれていない事に嫌い主張を押し通すストック自身が仕事姿勢で垣間取れる資質的な芯の強さなど両者が挑戦的な表情で交渉し合い友情が芽生える第一印象の場面も良い。

俳優陣でも主演デインの体重を増やしジェームズ・ディーンに成り切る肉体改造の努力も勿論,彼は本作でも声に特徴を持たせた事が伺えた。要は前々からコレは思ってた事でもあり彼は声で役柄に現実味を帯びさせる力がある。もしくは何かに挫折し苦悩を表情に滲ませ項垂れる不穏なダークサイドに堕ちた雰囲気は伝説のディーンを演じるのに本当彼以外の起用はあり得なかったんじゃないかと思わせる。トロントでの撮影時は丁度寒波が到来し体感温度の調整が大変だったみたいなんですが役柄に入り込む厳格な姿勢込みで今後も彼の出演作を応援していきたいものです。余談で言えば当時ディーンが抱え込んでいたマスコミ報道との複雑な問題は現代の芸能(俳優)世界でも通底している問題に思えた。印象が全てを決めつけキャリア選択で全てが左右される。ビジネスの狭間で苦しむ複雑な姿は万人の方に投影させ現代的に再解釈し読み取る事のできる姿なんじゃないかと。デインがこの仕事を引き受け更に彼本人の役者人生に多大な1歩を築き前進させた事自体にファンながら彼の相当な挑戦心の強さに惹かれた。最高!!

デニス・ストック役のロバートは眼力の鋭さ。コレ1本に限ると思う。対象に照準を据え直線的に洞察眼が人を見抜くロバート自身の俳優人生がまさに役柄に活かされ現実味を帯びる一旦の集大成的な映画になったと思う。デインの相棒は表情から多大な優しさが伺える彼以外になかったんじゃないか。カメラ越しに覗く瞳も少年風で青春の蒼さを時折覗かせます。影を落としどの時代にも通底した存在とし役柄に存在感を与えた彼自身の演技力もこの映画は最高の瞬間をいつも切り取っている。

他劇中でも50年代に流行したアメリカンダイナー"グーギーズ"で『エデンの東(55)』試写後に落ち合うフランクな雰囲気や『西部の掟(54)』をインタビューでディーンが小馬鹿にしワーナー社を罵倒する苦笑場面,NY夜のダイナーでアーサー・キットとディーンが踊り楽しむ胸の高鳴りも50,60年代のご陽気な風潮が感じ取れ心酔。1番好きな場面はNYブロードウェイを背景にストックがディーンを被写体に取る写真の画面比率や煙草を口に両手をコートに落とし込み怪訝な表情で斜め上を眺める場面。早くももう一度再鑑したい程。結論的に全描写が素晴らしいです。1番の疑問点が食前の祈りでデニスが無宗派と発言した後に場の雰囲気が一気に重くなる感じは何か示唆要素ありましたかね...夜行列車でディーンが想いを打ち明ける場面は画面に惹き寄せられた。

結論。役者陣の冴え渡る演技は勿論,構成の外連が素晴らしい。伝記映画を脱構築し俳優と写真家が2週間の旅路を通じ人生が最も輝き変わる瞬間に光を当てた構造自体がやはり結果的にどこがで観た既視感を拭い去りアナザーストーリー的な新種の立ち位置で新鮮味を絶やさず尚,純度が高いクオリティに引き上げたように思えた。特ジミーの幼き故郷インディアナで牛や民族楽器,子供と向き合いそれをストックが側から写真を撮り目的性を取り戻す過程は空気的に物凄く重苦しいが後に待ち受ける希望,光,再生の対比も構成力の魅力に尽きる。写真家と被写体の関係が芸術,音楽,文化,伝統など既存の価値を通じ信頼関係が芽生え特別な友情が構築されるまさに"他者同士が人生を共有"する瞬間自体にカタルシスを置くエネルギッシュな人生讃歌は映画的に憎いね(勿論褒めてます)。この映画は写真雑誌『LIFE』に勤める写真家の話でもあり,人生そのものの話でもある。言葉選びや説明過多にならない配し方から些細なニュアンスを楽しむ映画にも思えた。本作を通じ歴史に名を残す偉大なジェームズ・ディーンという伝説の俳優を尚知れた事だけでもこれほど過去の遺産に対し価値が溢れた映画はないんじゃないか。

最終的には年末に完璧な傑作に出会えた!!..終盤でストックがデインの"ある誘い"を素直に受け入れていれば..など監視後の話題も豊富な映画なのでこの時期だと友人or恋人同士でこの映画を観に行き話題で盛り上がるのも最適な1本に思う。本作を通じ近々公開のデイン次作,ロマンス小説を元にした『チューリップ・フィーバー(原題)』や仏傑作のSF漫画を元に綴る『ヴァレリアン(原題)』の期待値がよりいっそう高まった事は間違いない。本作を契機に『エデンの東』や『理由なき反抗』,『ジャイアンツ』も近々観ないといけない。デイン主演映画でも本作は1位!成功と死に捕らえら死ぬ直前にディーンが見た知られざる今を懸命に生き抜いた素顔を劇場でお勧めです!!