きゅうげん

地下に潜む怪人のきゅうげんのレビュー・感想・評価

地下に潜む怪人(2014年製作の映画)
3.5
地獄はパリの地下にあった!
"トレジャーハント+モキュメンタリー×ホラー"と、なかなかてんこ盛りで意欲ある映画。公開当時はピューディパイが宣伝してたとか。
原題「As Above, So Below」はエメラルド碑文からの引用で、キルヒャーとかパラケルススとかフリーメイソンとか、中学二年生頃にだれもが通る道ですね。

地下へ下ったり水に潜ったりする生理的嫌悪とか、いないはずのところに人・物が現われるジャンプスケアとか、怖くて最高。
匂わせた人物背景へ絡めたホラー表現については、温度感の違う怖さでちぐはぐな印象を受けるものの(←脚本の問題)、「罪」というものへ根差していると言えます。
なによりテンプル騎士団の遺骸や『神曲』の名文句が出てきたときの「ヨッシャ!」感。

しかしこの「罪」に関する構造。
世界各国に似たような形式(「巡るほど清められる」や「回すほど清めらる」から果ては「お金を積むほど清められる」など)がありますが、「赦されたから帰れますよ」というのは、映画的な着地の機能より、それが持つ宗教的な欺瞞をより前景化しているように思います。
その上でも映画的にも、"一旦戻る"というクライマックスや「私が賢者の石だったんだ」オチにはノリ切れず。オカルトどっぷり研究者なのに「都市伝説が何だっての」って言うのも頂けないです。
っていうか、「ほんとに2014年の映画? 2004年じゃなくて?」と言いたくなるくらい色々とダサいのも残念。