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さよなら、人類のadeamのレビュー・感想・評価

さよなら、人類(2014年製作の映画)
2.0
スウェーデンの奇才ロイ・アンダーソンがヴェネツィアで金獅子賞を授かったシュールなブラックコメディ。
笑い袋や吸血鬼の歯という古臭いおもしろグッズのセールスマンをする二人の男を中心に、断片的なエピソードがロングショットの固定カメラによる1シーン1カットで紡がれていきます。
冒頭のカバンの奪い合いで死に至るシーンやセクハラフラメンコ教室のシーンなど素直に笑える場面とまるで意味不明な場面とが組み合わされているのですが、共通するのは間の抜けたオフビートな雰囲気で、それに身を委ねるのは心地良い反面退屈さも伴っていました。
元気そうで何よりだと言う言葉の空虚さや経済活動の愚かしさをシニカルに描いていく中で、明らかに異質な終盤の悪夢のシーンにはゾッとさせられました。
そこにメッセージ性を見出そうとする観客を煙に巻くような不条理劇らしいラストシーンが心憎かったです。
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