かつてフランスの植民地だったアルジェリア。アルジェリア側からの反乱によりフランスとの対立が高まる中、イトコ殺しのアルジェリア人モハメドの移送を頼まれた元軍人のフランス人教師ダリュ。
移送道中、制裁のための村からの追手、出くわした先住民との銃撃戦やアルジェリアゲリラに遭いつつも旅は進む。モハメドの死者への向き合い方、厳しい土地で生き抜いてきた経験。ともに過ごすうちに彼の境遇や人柄も知り、だんだんと友情が芽生える。
だが、行くのは死刑への道のり。死ぬことが最善というモハメドに生きろと諭すダリュ。掟を重んじる民族で掟のため死ぬのが正義と信じるモハメドと命を重さを尊ぶダリュ。全く価値観の異なる2人が少しずつ共鳴する。
家族のため死ぬか、自由のため生きるか。
戦争と独立運動という命が失われやすかった時代の物語として見るとしみじみと感じられる映画だ。命の重さを知るダリュの言葉は普遍的に重い。起承転結のハッキリしたドラマを期待すると裏切られるかも。