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御用牙 かみそり半蔵地獄責めのAONIのレビュー・感想・評価

4.0
前作に比べ、ストーリー重視のまともに面白い捕物控になっている。その分、作品のアナーキー度が薄まったのは残念。SM色が濃いのは『盲獣』も手掛けた増村保造の嗜好?

前作では原作者小池一雄が自ら脚本を書いてあるだけあって、原作の持つ(読んだことないが、たぶん)アナーキー&変態男汁まるだしのカルト時代劇に仕上がっていたが、今回はマエストロ増村保造監督が自ら脚本を書き下ろし。その分、ストーリー重視でちゃんと内容がある面白いアクション活劇になっている(といっても、かみそり半蔵の例の変態拷問は健在ですが)。

前作では主人公である同心「かみそり半蔵」のキャラが全く予測不能な危険人物で、小池一雄×三隅研次監督という『子連れ狼』コンビによって生み出されるトンデモない映像表現も相まって、アナーキーな雰囲気がプンプン漂う作品だった。しかし、今回は意外と正義感溢れるカッコ良い同心に。話的にはこちらの方が面白いけど、前作のアナーキーさも捨てがたい。

今回は凄腕の用心棒・黒沢年男&大盗賊・佐藤慶と、敵役も勝新にとって不足なし。特に、サムライ姿の黒沢年男がカッコ良かった。時代が違っていれば、三船敏郎に次ぐ東宝時代劇スターになっていたかも。
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