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ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男のSのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

2021/04/04 DVD

アルトマンらしさ
(アルトマネスク)形容詞
1.現実をありのままに描写
社会批判的 ジャンルの転覆
2.ありきたりな規範に逆らう
3.破壊不能なこと

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ミケランジェロ・アントニオーニと並んで、世界三大映画祭の最高賞を全て制覇した史上3人目の群像劇の巨匠アルトマン。
独学で映画を学び、決められた構図内で役者が与えられた台詞を規律良く話す、といった既に確立された劇映画の王道スタイルではなく、あくまでもリアリティに富みドキュメンタリーの様に生々しい人間を描くことに拘り続けた。
「アメリカには何故ベルイマンやフェリーニが居ないのか?」
ー このアルトマンの言葉が、彼が生涯追求した映画のスピリットを物語り、彼の作品が本国アメリカよりヨーロッパで受けたというのが解る。
ハリウッドの資本主義に対するシニカルな目線を持ち、戦争や政治を皮肉たっぷりに描くなど従来の型にハマらない反骨精神に溢れるアルトマンが好きだ。
スーパーモデルブーム期のファッション業界の裏側を描いた'94『プレタポルテ』。リアルタイムに劇場で観た初めてのアルトマン映画だった。当時私はファッション狂で観たのだが、マルチェロ・マストロヤンニも健在で今から考えると相当に尊い映画だったと思う。
アカデミー賞に5度ノミネートされ受賞はならなかったが、2006年に功績を讃えられ名誉賞を贈与された。心臓肥大の移植手術を受けた過去や、苦労を共にした妻へ感謝を述べるスピーチ場面は泣けた。

若かりしアルトマンが終戦のある日に観たデヴィッド・リーン監督『逢びき』(1945)。‘’色気も若さもない女優だが、何故か目が離せなかった‘’と20分後に涙を流し、彼女に恋をした。映画には何かがあると思った瞬間だった。
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