垂直落下式サミング

高慢と偏見とゾンビの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

高慢と偏見とゾンビ(2016年製作の映画)
3.5
よくあるタイトルがオチみたいな作品かと思ったら、ちゃんと作り込んである。なかなか終末世界アクションしている映画。でありながら、原作の恋愛要素がちゃんと主軸なのがいい。
高慢と偏見の18世紀イギリスといえば、当時の世界の中心。産業革命の兆しがみえはじめて、さらに繁栄していく時代であるけれど、それと同時にコレラやペストや天然痘などの人を死に至らしめる病疫が大流行する。
この関連は、切っても切り離せない。貿易航路で繋がった宗主国と植民地。この間でやり取りした、ヒト・モノ・カネ、いろんなもんが行ったり来たり戻ったりした時代だ。
今までは移病が流行ったとしても、発生した村の一個か二個を見捨てれば抑え込めていたのだけど、商人の通り道にその村があっただけで、世界規模のパンデミックとなって不幸を拡散してしまう事態となった。
最終的に、スペイン風邪は当時の世界人口の4分の1くらい感染して、そのうちの半数の人を殺すことになる。こういう事実があるから、この年代にゾンビというモチーフがマッチするのは必然と言える。
当たり前のようにゾンビを相手にカンフーしているのが面白いし、ガーターストッキングにナイフ装備の武装系女子とか、素敵なフェチズムじゃないですか。
特に存在感があった俳優は、マット・スミスさん。『ラストナイトインソーホー』のアイツとか、『モービウス』のアイツとか、主にカンジ悪くてイジワルな英国風紳士の役を得意としている俳優さんらしい。本作でも、しっかりと本領発揮していた。