かすみす

キャロルのかすみすのレビュー・感想・評価

キャロル(2015年製作の映画)
4.1
まず、映像が綺麗。1950年代の映画を模した作りには感銘を受ける。演出された色合いは、観客を映画に引き込んでくれる。
次に、ストーリー。1950年代の時代背景から、同性愛者が厳しい立ち位置にいた。1950年代、アメリカでは同性愛が病気であるとされ、治療まで行われていた。そんな彼女たちであるが、この物語の中は、厳しさを前面に出すことなく、キャロルと夫との離婚問題を通じて描かれているにすぎない。そして、彼女たちの愛は最終的にはポジティブに描かれた。よくありがちな、自殺や心中といった主人公や相手の死を描くことなく、前向きに描かれている。これは、原作の作者であるパトリシアハイスミスがレズビアンであったからだろう。
この映画は、1950年代には絶対作られなかった(ヘイズコードがあるゆえ)が、当時の世界にもいたレズビアンを描いた美しい映画といえる。
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