何故か久々に見たくなった、衣笠貞之助のカンヌ初出品作。
日本映画らしい台詞量の多さは気になったけれど、ロングショットを頻発する端正なカメラワークや奈良時代らしい雅な美術と衣装には他では見られない魅力があった。
そして大仏建立作業の様子も丹念にかつ大胆に描写されていて、中盤の大仏の手が崩れる場面やクライマックスはまさに圧巻だった。
若干長尺には感じられたけれど、映像表現としては同じ年にカンヌに出品された映画の中でも随一の良さだったかと思えた。(タチやブニュエルにも並ぶ勢い)
でも百姓の生まれであろうヒロインに京マチ子はさすがに顔が整い過ぎていたように思う。