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ヘイトフル・エイトのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)
3.0
猛吹雪のために閉じ込められた家屋で展開されるクライム・サスペンス風西部劇。
クエンティン・タランティーノが脚本・監督を担当した8作目。
音楽はエンニオ・モリコーネ。
R18+指定(今回の鑑賞はテレビ用に修正したR15+版)。
原題: The Hateful Eight  (2015)

第1章「レッドロックへの最後の駅馬車」
The Last Stage to Red Rock
第2章「ロクデナシ野郎」
Son of a Gun
第3章「ミニーの紳士服飾店」
Minnie's Haberdashery
第4章「ドメルグには秘密がある」Domergue's Got a Secret
第5章「4人の乗客」
The Four Passengers
最終章「黒い男 白い地獄」
Black Man,White Hell

南北戦争から数年後のワイオミング。
猛吹雪が迫る真冬の山中。
お尋ね者の死体3体をレッドロックに運ぶ馬が息絶え困っていた黒人の賞金稼ぎウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン)は通りかかった馬車を止める。
馬車の中には「首吊り人」と呼ばれる賞金稼ぎのルース(カート・ラッセル)と、彼が殺さずに捕まえた懸賞金1万ドルの悪党ドメルグ(ジェニファー・ジェイソン・リー)がいた。
途中でレッドロックの新保安官だというマニックス(ウォルトン・ゴギンズ)も乗せることになり、吹雪のせいで中継地にあるミニーの店に入るが、店主は不在で、いわくありげな4人の男たちがいた…。

~①レッドロックに向かう馬車に乗り合わせた4人と御者~
・マーキス・ウォーレン(サミュエル・L・ジャクソン):元北軍少佐。黒人の賞金稼ぎ。賞金総額8000ドルの遺体3体をレッドロックに運ぶ途中、馬を失う。リンカーン大統領の手紙を持っている。
・ジョン・ルース( カート・ラッセル):ウォーレンと顔馴染みの賞金稼ぎ。「首吊り人hangman」と呼ばれ、捕らえたドメルグを殺さずにレッドロックまで運び、絞首刑にしようとする。
・デイジー・ドメルグ( ジェニファー・ジェイソン・リー):ルースに捕らえられた盗賊。
・クリス・マニックス(ウォルトン・ゴギンズ):元南軍。レッド・ロックの新任保安官。
・O.B.ジャクソン ( ジェームズ・パークス):御者。

~②ミニーの店で出くわす4人~
・ボブ(デミアン・ビチル):店の留守を任されたメキシコ人。
・オズワルド・モブレー(ティム・ロス):首吊り執行人。イギリス人。
・ジョー・ゲージ(マイケル・マドセン):クリスマスに母親の元へ帰る途中のカウボーイ。
・サンディ・スミザーズ将軍 (ブルース・ダーン):死んだ息子の弔いに行く途中の元南軍の将軍。戦中、黒人を虐殺。

~③ミニーの店の関係者~
・ミニー・ミンク(デイナ・グーリエ):紳士服飾店の店主。
・スイート・デイヴ(ジーン・ジョーンズ):ミニーの相棒。
・チャーリー(キース・ジェファーソン):黒人の店員。
・ジェマ (ベリンダ・オウィノ):黒人の店員。

~④他の登場人物~
・ジュディ(ゾーイ・ベル):六頭立ての馬車を操る御者。
・エド(リー・ホースリー):ジュディの相棒の御者。
・チェスター・チャールズ・スミザーズ (クレイグ・スターク):スミザーズ将軍の息子。
・ジョディ・ドミングレ (チャニング・テイタム):デイジーの弟。

「お前には分かるまい。米国で黒人が直面する恐ろしさを。黒人が安全なのは白人が丸腰のときだけ。この○○は白人の警戒を解くのに何よりも効果的だ」

十字架に磔されキリスト像で挑発的にスタートし、ラストはほぼホラー。
虐待的性シーンや残虐な首吊りシーンがあり映倫指定になっているが、テレビ版ではより過激なシーンがカットされている。
「西部の正義(Frotier Justice)」ではなく「文明社会(Civilized Society)が呼ぶところの正義」で裁いたように見せて、実は未だ根強い西部の正義がまかり通っているのだが、それだからこそ観客は納得させられ、歓喜する。
苦しんで死んでいく様子を見て楽しむというサデスティックで倫理感の欠けた映像表現はタランティーノの真骨頂(映像技術は高い)であり、ハリウッド映画の世界市場に占める割合の増加と比例して彼の映画を楽しむファンも拡大し、タランティーノの人気は熱狂的に続く。
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