Yoshishun

ルパン三世 燃えよ斬鉄剣のYoshishunのレビュー・感想・評価

ルパン三世 燃えよ斬鉄剣(1994年製作の映画)
3.5
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

さて、新年2発目は(1発目はマリオをしれっと見てました)、ルパン三世TVSPの1作。
今回のお宝がルパン一世が盗めなかった“龍”の置物ということで偶々辰年に相応しい作品だった。

初代ルパン声優の山田康雄さんの遺作で、巻き舌気味な独特な喋りもこれで見納め。改めて山田ルパンはカラオケ採点でビブラート加点しまくりそうな声質だと感じた。

肝心の内容は、龍の置物、そしてそれに纏わる巻物を巡って、ルパンvs五右衛門vs陳珍忠の三つ巴の争いが展開されるというもの。そこに五右衛門がかつて可愛がっていた桔梗という謎多きくノ一、何も知らない銭形が介入し、それぞれの思惑が原因で衝突を繰り返していく。ルパン一世盗み損ねたもの多過ぎやしないか?というツッコミはさておき、序盤で五右衛門が先代をテーマにした歌舞伎で涙していたように、五右衛門の生涯がフィーチャーされた作品かと錯覚する。しかし、先代に纏わるお宝という点以外は案外薄味で、例の斬鉄剣で斬れないというお約束の展開も目新しさはない。

しかし、金ロークオリティーとしては、意外にもアクションはしっかりしている。ダサい斬撃描写が足を引っ張っていた『ルパン三世vsキャッツアイ』よりも、セル作画の味を残しつつスピーディに描いた斬撃は迫力があった。また、ルパンのしぶとさを知っておきながら、確実に殺しにかかる血の気の多い銭形警部は今だと描けないだろうし、地上波だろうがお構い無しな不二子の乳首も今では貴重なシーンといえるだろう。

中ボスクラスの敵には影武者が複数人いた!という割にはルパンをあっさり見破っていたし、後出しジャンケンな設定が矛盾が生じていたりとストーリーの爪の甘さは目立つ。重力無視かつ荒唐無稽なクライマックスが同じシーンの使い回しという荒業が可愛く見える辺り、ストーリーよりも映像には満足できるTVSPだった。
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