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ミンヨン 倍音の法則のkiyosuekoheiのネタバレレビュー・内容・結末

ミンヨン 倍音の法則(2014年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

岩波ホールにて。

この映画の構造としては、以下の4部に分かれていると思います。

1:ソウルで暮らすミンヨンと妹
2:夢の中で日本に来るミンヨンと妹
3:さらに夢の中で戦時中の佐々木すえ子になったミンヨン
4:夢から覚めて、エピローグ

「1の位相にいるミンヨンが、写真に載っている佐々木すえ子という人物のことを気にかけながら眠り、その夢として2と3が立ち現れてくる」というのが物語の枠になっていて、この構造は名作『夢の島少女』(僕はこれを観て佐々木昭一郎にハマりましたし、こればかり何十回も見返しました)と同じ、いわば夢オチです。

1は導入部。みんな笑顔の芝居がとても奇妙で、まるで大根役者による再現ドラマみたいでしたが、日本の日常を描いているのではなく、韓国の生活を日本語や英語で表現しているというズレがあるので、ミンヨンのかわいさを頼りに、ともかく観続けました。
2になって、ミンヨンのかわいさと美しさがいっそう胸に突き刺さり、ミンヨンに恋しているような気分になります。
3がメインなのでしょうが、いちばん長く、意味不明だったり冗長だったりする場面が目立ったような気がします。プロの俳優を使わないことのデメリットも出ていると思いました。
4には「まだ終わらせたくない」という監督の気持ちが見て取れました。夢から覚めてもどんどんミンヨンを映しています。

構造は単純かつ強固である一方、構成は複雑で、統制がとれていない感じでした。

あからさまな反戦メッセージ、反核メッセージ、反原発メッセージが出てくるのですが、そこへの持っていき方、現在の若者にどのように届けるかという方法は、あまり巧妙ではないように思います。

全体として、疑問はたくさんあるのですが、とにかくミンヨンを嬉しそうに撮った映画であり、ミンヨンのかわいさが爆発しています。
佐々木昭一郎さんには、ミンヨンをヒロインに、もう何本か撮ってもらいたいです。