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パウロ 愛と赦しの物語のkiyosuekoheiのレビュー・感想・評価

パウロ 愛と赦しの物語(2018年製作の映画)
2.0
奇しくも、昨日まで読んでいた大傑作小説『クオ・ワディス』とまったく同じ題材。しかし、これは評価できないタイプの映画でした。現代人みたいな「迫真の演技」を、雰囲気ありげな暗い照明と退屈な音楽で包んだ、何も面白くない映画だったと思います。こんな感じで作ればそれっぽい映画になるだろうなんて、思わないでもらいたい!

そして脚本がよくなかった。ルカやパウロが(一時的にせよ)生きながらえる一方、多くのキリスト教徒が苦痛と屈辱の中で死んでいく。死後の生と栄光は、その苦悩を引き受けた上でしか説かれえないはずのものなのではないでしょうか。しかしこの映画のパウロは、「他人が死んでも自分が死んでも平気」という、ただのおかしな奴(演技も含めて)。矛盾も孕むほど奥深いはずの教義が、とても浅いところで語られていた気がします。