ゆみな

ラスト・ウィークエンド(原題)のゆみなのレビュー・感想・評価

3.3
これ、意外と退屈な映画だと感じる人が多いんじゃないですかね。私は結構好きでした。

美しい湖畔の大邸宅に住んでいるマルコムとセリアというグリーン夫妻。レイバー・デー(アメリカの国民の祝日)の前の週末、息子のテオとロジャーが妻や友人たちを連れて久しぶりに帰って来る。しかし、セリアは自分が歩んできた人生に疑問を抱き、邸宅を売ろうかどうか悩んでいた。セリアだけではなく皆それぞれに心に苦悩や問題を抱えていて、それらと向き合う週末の4日間を描いたお話ですかね。

まあ、地味な話なんですよ。
セリアはお金持ちで何一つ不自由なく生活していて、でも子供達が巣立っていった今自分には何もないんじゃないか…って言う、虚無感と向き合っているんですよね。息子達も息子達で悩みがあって、ゲイの恋人との関係性とかリストラとかね…。勿論、息子達の周りの人にだって悩みはあるんですよ。そういう、誰もがひとつは持っている悩みを見せられているので、終始どんよりはしています。
ただ、この週末が終わる頃に少しだけ気分が上向きになることと、やっぱり絵画のように美しい景色には癒されるので、時間がある時にゆったり観るのがいいんじゃないですかね。

ところで、ゲイの恋人役でデヴォン・グレイくんが出てまして!これ全く知らずに観たのでテンション上がりました。ちょっとラブなシーンもあったし!
で、彼がシャワー中に歌うシーンがあるんですけど、ここがいいんですよね。それを聴いてセリア(パトリシア・クラークソン)が涙を流して、そこから少しだけ彼女の中で何か変わった気がするんですよ。このシーンがとても好き。あとは息子の嫁と暗い部屋の中で窓枠という額縁を通して夕陽を観るあのシーンもね。

自分が子育てが一段落したときに、もしかしたらこういう虚無感に襲われるのかもしれない。そのとき、夢中になれるものが他にもあるように、やっぱり何か趣味でも見つけないとな~ってちょっと危機感を持ちました。あ、おばあちゃんになっても映画観ればいいのか。
ゆみな

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