シャチ状球体

スケルトン・ツインズ 幸せな人生のはじめ方のシャチ状球体のレビュー・感想・評価

3.4
※間接的な性暴力の描写があります

離れて暮らしていた双子が同じような境遇を辿っていたという話はよく聞くけど、これは特性や資質が似た人は同じ社会の中で似た扱いを受けやすいということも関係していると思う。

マギーとマイロは職業や環境こそ違えど親子関係の悩みや孤独感に苛まれていることは共通しており、それは二人にしか共有できない共通点でもある。
二人が直面する悩みは誰もが体験し得る等身大のもので、例えば単発の不倫をしていてもパートナーに特に不満があるわけではないとか、歳を重ねると周りとの差がどんどん開いていくとか、明確な解決法のない精神的な重圧をマギー達は受け続けている。

そんな中でも助け合えることもあれば全然そうじゃない場合もあり、完全には消せない希死念慮を紛らわし続けることは手段と場合によっては必要なケースがあるというエンディングには一定の説得力があった。
ただ、教師と生徒間の性暴力を明確に否定していない(大人になって再会すれば問題ないと言わんばかりの終わり方をする)のと、家以外の別のコミュニティを探すよりも血の繋がったきょうだいと過ごすことの方が大事である、というようなメッセージを出してしまっているのは素直に批判されるべき。

きょうだいでも幼馴染でもない男女が助け合ったり助け合えなかったりする『夜明けのすべて』がいかに傑作なのかを逆説的に露わにしてくれる映画でした。
シャチ状球体

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