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ドクター・ストレンジのTのレビュー・感想・評価

ドクター・ストレンジ(2016年製作の映画)
5.0
映像はすごく良かった。
この映画にめっちゃインセプションみたいな映像出てきたし、TENETにめっちゃこの映画みたいな映像出てきた。

初めてエンシェント・ワン(ティルダ・スウィントン)に会った時に見せられたサイケデリックな映像がマジで良かった。だいぶ気が狂った映像で素晴らしい。
ティルダ・スウィントンがナレーションしてるから「最後にして最初の人類」をちょっと思い出した。



やっぱり相変わらず科学用語が出てくる。
魔術って設定なんだから理屈なんでなんでもいいはずなのに、わざわざ"エネルギー"を別の"次元"から引き出すと言っている。
ストレンジが死にかけて恋人のところに手術してもらいに行ったとき「西洋医学に捨てられたらから東洋に行った」と言っているが、行った先の秘術は西洋科学の言葉で説明されてる。
「科学用語を出しさえすれば設定がちゃんとしてるって観客に感じてもらえる」と製作側が思ってそうで面白い。


中盤に「医者だから命を奪いたくない」というテーマが提示されて、せっかくいい展開になりそうだったのに、このセリフで言っただけでその後1ミリも出てこなかった。このテーマを掘り下げたらストーリーが深くなりそうなのに…。
暗黒次元の主と取引するのもダサい。見てくれ的にはそんなもの超越してる雰囲気なのに。至って常識の範囲内での解決。






細かいけど、用語の使い方で気になってる部分がある。
「マルチバース(多元宇宙)」と「次元」について。どちらも本当にある物理用語。

多元宇宙論は量子力学的な重ね合わせの解釈の仕方の一つ。同時進行する複数の世界線が無数にある、という感じ。タイムワープした時に世界線が分岐する話をするときに出てくる用語。

一方で、「次元」は、ある空間で座標を固定する時の自由度の数。3次元ならx,y,z軸を固定すると一点が決まる。
例えば平面世界に生きる平面人に立方体を見せても正方形にしか見えない。
これと同様に、我々にも見えてない次元がありそうだという話は実際の物理学でもある。

気になってるのは、MCUで「多元宇宙」って用語が使われるときは、常に”多次元”宇宙の意味で使っていること。
次元が沢山あることを指していて、世界線が沢山あることではない。だから、タイムリープの話とは関係がなさそう。
自分は「科学的に正しい用語を使え!」みたいなSF警察じゃないから、普段なら全然いいんだけど、今回の言葉のセッティングは普通に混乱する。

一応MCUシリーズでタイムリープするときは、沢山ある別の次元の1つである「量子次元」を通るという設定になっていそうで、そういう意味ではタイムリープと関係あるかもしれない。
エンドゲームでは本来の意味での多元宇宙論が世間に浸透しまくったせいで、それを根拠にするまでもなく世界線の分岐の話が出てきてた。それとは別に、多次元宇宙の意味で「多元宇宙」という用語が出てきている。
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