享楽

名もなき塀の中の王の享楽のレビュー・感想・評価

名もなき塀の中の王(2013年製作の映画)
3.4
愛を知らない19歳の不良少年ラブがイギリスの刑務所内で父と出会い更生してゆく生活の日々を型取った話。「社会不適合で暴力的な囚人は更生されるべきかさもなくば死ぬべきか」というジレンマ的主題が魅力的で不器用ながら所内の仲間と暴力衝動を抑圧し父子の愛を彼らなりに育んでゆくドラマに感動!
刑務所内で収容側と被収容側との見えざる麻薬金銭取引が秘密裏に行われている背景(サスペンスっぽい空気感)でラブが囚人療法会で仲間達と建設的な関係を気付こうとしてゆく様が見事。
まず刑務所で父と子が一緒になるって設定が面白味ありますよね。壁に貼り付けてある家族の絵や写真、仲間達と語られてゆく中明らかになってゆく各囚人のバックグラウンド、非常に人間味があり鑑賞中是非とも更生されて社会復帰して欲しいなぁという気持ちが強まる。
前半は寡黙な中ラブが監獄部屋の中筋トレをし後ろの小さな窓から光が射し込んでいる画など素敵だった。
また療法の内容をハッキリ示すことなく対話をして互いを挑発させ怒りを抑える訓練をしていて、その変化と進歩が”母親の話題”の時にハッキリと垣間見られたところに良さを感じましたね。
終盤親父と大喧嘩し2人が独房に押し込まれてからの展開が今作で1番観入れたところで、親父が息子の安否を確認する為何度も叫び、返事が返ってきたところであの演技…!良かったですよ。しかしあんなにも簡単に殺されかけるなんてあんまりですねぇ…「権力の犬どもが!」と収容側に罵倒するシーンには説得力があり薄らと社会的な問題を感じ最期暗闇の中にラブが入って行き回転ドアが静かに止まる様に一種の恐怖を感じるに至った。
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