名もなき塀の中の王の作品情報・感想・評価

名もなき塀の中の王2013年製作の映画)

Starred Up

上映日:2015年10月10日

製作国:

上映時間:106分

3.7

あらすじ

少年院でトラブル続きの暴力的な少年が、成人の刑務所に移送される。 そこでも彼の乱暴は止むことがなかったが、心療セラピストとの出会いや、同じ 刑務所内に収監されていた父親と再会によって少しずつ変わっていく。暴力でしか 自分を示せず、愛を知らなかった少年が、初めて生きる希望を見つけていくのだったが、 これまでの行動を問題視していた勢力が動き始め・・・。

「名もなき塀の中の王」に投稿された感想・評価

北野武さんが『暴力は愛情に代わる大きな位置エネルギーを秘めている』と言っていたが、正にそれを地で行く映画。父子の型に嵌らない愛情の物語。全編暴力で染まってる。
山桃

山桃の感想・評価

-
主人公エリックが「太陽のめざめ」の少年マロニーとかぶった。

刑務所は刑期を務めるところであって更正するところではないのですね。
聞こえてくるのは、囚人の怒号、骨を砕く衝撃、鉄格子の冷たい音
回転式のドアに大きな意味を感じつつ
しっとり終わるギャグ満載の重い映画

ショーシャンクに飽きたら観よう。
K2

K2の感想・評価

4.9
"お前の父親で良かった"

『最後の追跡』が個人的に激アツだったデヴィッドマッケンジーの隠れた名作。(お願いだからタイトルは役立たずなので見なかった事にしてほしい)

少年院上がりで父親も刑務所にいる"サラブレッド"なエリック。独房に入って真っ先に狂気を作るところから始まり看守相手にも戦い方が完全にプロでカッコよすぎる。

頭の緩い男しか出てこなくていざこざの原因も苦笑が止まらないがそんな男たちの不器用な絆の築き形が凄くいい。エンディングまでBGMが一切入らない中でのドキュメンタリーの様な緊張感は間違いなく一見の価値あり。

セラピーのメンバーがエリックを馴染ませるために一悶着の演技をするシーンが好み。
R

Rの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

自宅で友人1人と。

2015年のバイオレンス映画。

監督は「最後の追跡」のデヴィッド・マッケンジー。

話は暴力的な少年エリック(ジャック・オコンネル「マネーモンスター」)が移送先の刑務所で再会したのは実の父親ネビル(ベン・メンデルソーン「ウーナ 13歳の欲動」)。暴力しか知らなかった少年エリックがネビルや刑務所仲間の囚人との出会いを通して徐々に変わっていくが…というもの。

初報から気になっていて、この度ゲオのレンタルで鑑賞。

さて、今作のパッケージやイメージからどういう話を連想するだろうか?

1人の粗暴な若者が刑務所にされて…という内容から、あぁ、なるほど。移送先の刑務所で実の父親に見守られながらも、成り上がっていくのか、少なくとも俺はそう観る前は感じていた。

けど、観てみると、なんつーかそれ以前の話。

この刑務所…快適じゃね?

冒頭、エリックが刑務所を舞台とした映画ではお馴染みの全裸での身体検査があるので(しかもボカシありの完全ガチ検査)、これは過酷な環境が待っているな…と覚悟してたら

…意外と自由!!っていう…笑

看守は最初こそ厳しい感じだけど、後はほぼ空気で、囚人たちも基本自由。普通に牢も開けっ放しで自分が行きたい部屋で仲間の囚人とくっちゃべってる始末(厳つい囚人が自分の名前が書かれたマグカップで優雅にくつろいでいる姿は吹いたw)。
タバコも蒸し放題だし、ヤクも隠れて取引しているもののほぼ横行しているのでフリードラッグは当たり前!!

おいおい、なんだよ!ここは天国かよ!!

意外と清潔な室内含めて、下手したらおれの部屋より住み心地良さそうだよ!!

なんだか、刑務所ってより、年取った男子寮って感じ。

だから、当初の成り上がりサスペンスというイメージは木っ端微塵に吹っ飛び、そこにあるのは少々バイオレンスな「日常」ドラマ。

お父さんとも仲がいいわけでもなく、お互いがお互いに粗暴な気質を持っているので遅れてきた反抗期というか、エリックの「メンター」というか「反抗期の息子を手に負えない父親」って感じなのもまた、意外だった。

ただ、緊迫感がないと言っても決してつまらないわけでもなく、エリックとネビルの微妙な関係性を軸に丁寧な人間関係をよく描けている。

まぁ、少々長く感じたが。

劇中、思ったよりバイオレンスな展開にはなるわけでもなく、それでも終盤ある出来事をきっかけに移送されることになる父親ネビルが最後に息子にかける言葉は胸に沁みた。

なんだかんだ言いながら、「腐っても」やっぱり「父親」なんだね。

そんな父親との別れを胸にスーっとフェードアウトするように去るエリックの姿もまた多くは語らなくても充分に伝わる「良さ」があった。

当初のイメージとは違ったが少なくとも観てよかったと思える作品だった。
刑務所ドラマであり、父と息子の物語だった。ジャックの暴れっぷりに、所々ブロンソンが頭よぎっちゃったし、ベンのクセありお父さんのクズっぷりにたまにイラっとしたけど、そんな歪んだ父子が徐々に見せる情のようなものが悲しいけど心に刺さる。
ONDEN

ONDENの感想・評価

4.1
ジャック・オコンネルかっこいい。

ここまでまともに英国訛りの英語で突き通した作品はこれが初めて。
おかげでリアルに見ることが出来た。

刑務所の陰湿さと怒りの描写がとても秀逸だった。

父と子というシンプルな主題もこの手の映画にしては分かりやすい感動に繋がっていて良かったと思う。

結局グレるかグレないかは誰と出会うかだよなと妙に納得した映画。
BG

BGの感想・評価

4.0
「愛情っていう形のないもの。伝えるのはいつも困難だね。だから…。」
好きだなあ、これ。山椒は小粒でもピリリと辛い。こうした作品に出会いたくて、マイナーな作品を観たりもする訳で。しかし、いったい何を考えてこの邦題にしたのか、考えた人にぜひ聞きたいもんだ。何やらカラス共が刑務所のテッペンを目指しそうなタイトルだが、全く違う。ツンデレ親子による、父と息子の言わばホームドラマである。

過剰な説明、一切なし!主人公のラブは少年院からの繰り上げ収監なんだけど、まあ手慣れたもんで。冒頭の描写一発で少年が如何にワルかを描くさまには唸りました!
とにかく、すぐキレる少年ラブ。刑務所内でも、相手が年上だろうが看守だろうが、つっかかっていく。それを気に掛ける一人の男。彼は、無期懲役で収監されるラブの実の父親だったのだ。

とにかく暴力描写のリアリティが凄い。過剰な演出がない分、余計に痛い、イタイッ!特に、ラブが絞殺されそうになった場面はたまげた。これ、本気で絞めてない?うはぁ。

ラブの心が解きほぐされるのが、やや性急に感じたものの、周囲の囚人との関係性や彼等の振る舞いなどから、一時的なものだと言うのが伝わる。1つの切っ掛けで暴発する爆弾なのだ。

最後には、ある結末を迎える訳だけど、父親のその台詞が個人的にはストレート過ぎて少し気に入らない。でも、あれで良かったようにも思えたりする。どうだろう。が、それより重要なのは、その後のラブの何気無い台詞だと、私は強く思うのだ。ラストは余韻あるショットで完璧な幕引き!文句なし!

どこまでも不器用な親子。しかし、言葉の端々に、些細な行動に、互いへの想いが痛々しいまでに詰まっている。結局は、どんなに下手で歪んだ形でも、続けることこそが対話なのかも知れない。そして、それは刑務所だけではないし、彼等親子だけの話ではないはずだ。
「知らぬ間に築いてた自分らしさの檻の中で、もがいてるなら。誰だってそう。僕だってそうなんだ。」
いつまでも、キミに捧ぐ秀作!
最後の最後に親子になれたんだな。とき同じくして殺されかけているシーンは圧巻。

刑務所ってひとつの社会。
ドキュメンタリー風。終身刑の父親がかっこよく見えてしまったほどの強い親子愛だった。
>|