畑

博士と彼女のセオリーの畑のレビュー・感想・評価

博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)
4.1
まず、いわゆる「感動ポルノ」ではない。そこが素晴らしいと思う。さあ泣け!みたいな造りではない。奥さんの手記に基づいているだけあり、限りなくリアルで、困難と疲れが付きまとう。聖人なんか居ないし、機械じかけの神様が結末に舞い降りたりしない。

でもだからこそというか、それぞれの人の精一杯がすごく響く愛おしさになってるのかなあと。何一つシンプルにはいかない人生という混沌の中に見出す「万物の法則」。明示されないし説明もできないけど、それは誰の中にもあるんじゃないかなあ、と、最後のシーンで思った。思うことができた。気づいたら涙が出てた。

今書いてて思ったけど、そのシンプルから混沌というのはホーキングの宇宙論の推移と対応しているのかもね。穿ち過ぎかな?

友達のブライアンが大変いい奴で、彼とスティーブンの友情のお姫様抱っこのところが凄く好き。あと「巻戻り」は卑怯だよ...うう...とりあえずエディの美しい目をたっぷり楽しめる映画であることは間違いない。彼の瞳の美しさが半端ではない。

最後、光を浴びた二人の目には、何が映っているのかな。「乗り越えた」とか「打ち勝った」とか、他者からの適当な割り切りに当てはまらない、二人で生きた人生の後にしか見えない美しい何かが、きっと見えたのだという気がする。
畑