中庭

ハリウッド・アドベンチャー 3つの扉の中庭のレビュー・感想・評価

3.7
「臆病者」
今ゼメキス作品においても、スキットルはかなり重要な説話的役割を担う。
腹から飛び出た内臓をヘルメットでおさえるというアイディアが最高(オマージュであれば詳細を知りたい)。
銃殺が下される寸前の父子の表情の変化と、発砲に至るまでの切り返しのこれしかない!というリズムと配置は必見。

※以下、作品登録のない他の『ハリウッド・ナイトメア』シリーズのレビューもこちらに掲載。
「殺人ゲームはサンタと共に」(『スクリーム』)
仰向けに大の字で横たわっていたはずの夫の体が、脳天から斧を抜かれたらしく、姿勢が乱れてしまった「後」の姿を覗き見るときの演出にゾッとさせられた。
サンタの腕をドア越しに斧で切りつけたとき、「臆病者」や『ロマンシング・ストーン』、『ベオウルフ』など人間の腕がもげる、損傷するときの演出への一貫したこだわりがあることに気付かされた。

「罠に落ちたボギー」(『ヴァンゲリア』)
自ら『フォレスト・ガンプ』を劣悪にコピーしてしまうオープニングの悪ふざけに笑っていると、ふいにヒッチコックが現れて呆然とさせられる。
妻とエリカの愛情の違いを、同じショットの使い回しで表現するアイディアが面白い。あれは他の合成シーンと違って、女たちのみが埋め込まれた形だったんじゃないだろうか。
あの手この手で「死んだ」顔のハンフリー・ボガートが画面上に現れるジョークの黒さも尋常じゃないが、悪役二人が車ごと地面に埋め込まれてしまうというクライマックスも見事なまでに寓意に富んでいる。
この映像体験が豊かであるかどうか、その判断いかんであらゆる映画人が試されているような気さえもする。
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