主人公は旅行に来た裕福なカップルと、ツアーガイドとして観光客を騙しながら稼ぐ青年だが、
私はこれを、「ギリシャを舞台に破滅していく二人の男の物語」だと捉える。
ストーリーとしてはこの男二人が、純粋に人を信じる妻をきっかけに関わりを持ち、欲望に塗れ、共に疑い騙し利用し合い、破滅へと進んでいく。
似たもの同士だからこそ憎み合い、
最後は同情とも取れる友情を見せる。
無駄な描写のない美しい作品だと思う。
長編映画のような見応え。
原作はサスペンスやミステリーで有名なパトリシア・ハイスミスの著書『殺意の迷宮』1964年出版