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王の涙 イ・サンの決断の福福吉吉のレビュー・感想・評価

王の涙 イ・サンの決断(2014年製作の映画)
3.5
李朝の王イ・サン(ヒョンビン)は常に暗殺の脅威にさらされながら、尚冊のカプス(チョ・ジェヨン)とともに学問に取り組んでいた。そんな中、宮廷内は先代の王妃・貞純王后(ハン・ジミン)を筆頭に老論派が支配し、ク・ソンボク将軍(ソン・ヨンチャン)を味方にして、王の暗殺を企んでいた。

1977年に起きたイ・サン暗殺未遂事件という実話に基づいた作品となっています。私はこの事件を全く知らずに観ましたが、結果として満足することができました。
しかし、登場人物が多いため、前半は区別がつかず、理解することが難しかったです。

主人公である王のイ・サンは先代の王である父を老論派の策略により餓死させられており、周囲が反対勢力だらけの状態で、非常に脆い存在のように感じました。しかし、多勢の老論派を前にしても動じず、王としてあり続けた姿は意志の強さと器の大きさを感じました。

そして、イ・サンに仕える尚冊のカプスは、本来の職務である書籍の管理だけでなく、王の心の支えにもなっていて、限りなく兄弟に近い存在のように感じました。ストーリー途中で、カプスの秘密が明らかになったときは衝撃的でした。それでも、カプスが王を守ろうとした姿は健気でした。

それらに対して、先代の王妃・貞純王后の悪女ぶりは非常に強大で、あらゆるところに手先がいて、油断のならなさを感じました。貞純王后と王の母・恵慶宮(キム・ソンリョン)との策謀のやりとりは一枚も二枚も貞純王后の方が上で、観ていて怖さがありました。

理解しきれていないと思いますが、王イ・サンの意志、コプスの思い、そして王の暗殺に暗躍し、翻弄された人々の悲しさを描いた作品として、とても面白かったと思います。

鑑賞日:2022年11月25日
鑑賞方法:BS/CS WOWOWプラス
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