あのレフンが絶賛という殺し文句にすっかりやられ意気揚々と観に行ったが、結果として今年のワーストとも言いたくなる代物だった。
まさにB級映画という展開の連続でストーリーに関してはゴミに近い。深みも新鮮味も問題提起もなく、B級映画にありがちな設定や見せ場を並べただけの中身のない映画。
でも嫌いかと言われると嫌いではない。レフンオマージュともとれる照明の使い方や80sサウンドはパクリと言われようが、そこから感じる煌びやかさやいなたさはやはり良いもので、色彩と音が映画に対して持つ効果を高品質なレベルでみせてくれる。
俳優の演技も素晴らしいし、顔つきもみんな良い。特に主役のダン・スティーブンスは笑えるほどかっこいいし、こんな男に殺されたなら黄泉の国で自慢話のタネになる。
演技良し、映像良し、音楽良しだが、そこにストーリーが一歩も及ばなかったのが残念。レフンやリンチを思わせる空間美の素晴らしさはあったが時々垣間見える演出のダサさもガッカリした。オマージュを抜けきらないパワーのなさが映画の魅力を大分削いだように感じた。
後半の校内で行われるにしてはあまりにも立派なハロウィンパーティーの迷路で起きる闘いのシーンなんかは映像としては本当に良かったが、つまらない。
映画館の大きな音と大画面で観ないと酷すぎて全く面白くない作品だと思うので、興味があるなら絶対に映画館で観た方が良い。