パンケーキレンズ

オデッセイのパンケーキレンズのレビュー・感想・評価

オデッセイ(2015年製作の映画)
4.5
リドリー・スコット監督の夜が明けた

かつて金字塔を打ち立てたSFという得意分野で力強く復活を遂げながら、人間味溢れる軽快さと「孤独からの生還」という監督自身のパーソナルな色合いに、たまらなく嬉しさを覚える

映画製作こそが彼にとって、きっと生きる希望なんだろう

主人公が、持てる限りの知識で必死に生き延びたように
それまでの経験と手腕を活かして、監督は見事に「還って」きたんだ♪

トニー・スコットに捧げた『エクソダス』で、リドリーの「夜明け前」をあの時、感じ取ったわけなんですけど、正直、こんなにドンピシャな映画が次に来るなんてね、実際、企画段階には関わらず、スケジュールの問題で急に舞い込んできた監督依頼ってのが、出会うべくして出会った映画、撮るべくして撮った映画な、そんな外側の素敵な逸話

うん・・・

思い通りに行かん事だらけです

映画の中だけじゃなくてね

それは私たちもみんなそうよね

「取り残される」事だってあるだろう

その絶望の中で見出す一筋のかすかな道筋
しがみ付く根性
ふり絞る勇気
軌道に乗りかけての挫折とか
周りの協力とか
思わぬ所からの手助けとか
もう
映画の中で起こる色んな事が全部全部全部全部、監督の復活劇に見事にかぶる!

だから
SOSが通じた時の感動は、ひとしお♪

宇宙空間や火星に於ける恐怖は最小にして
いくつものユーモアが飛び出すところの前向きさと人間らしさがいいしね
クリステン・ウィグや
マイケル・ペーニャっていう
ライトなスターを配置するセンスが効いてるし
ウィンターソルジャーことセバスチャン・スタンがカッコ良すぎて困る!(何がw)

あんな素敵なクルーなら、あたしゃソル3000日でもお供したいわ♪

って、イケメン俳優にいつもうつつを抜かしながら、デイモンちゃんは、何気に私的「ダンナにしたい俳優第1位」やしね
(これ、ほんまw)

限定的なシチュエーションと、SFという分野(しかもちょっと専門的)でありながら、誰にでも届く普遍的で人間的な物語に仕上がってる上手さときたら♪

「それは、誰にでも起こりうる」

ラストの講義のシーンがめちゃめちゃ好きなんですけど
誰にでも起こりうる孤独と
誰にでも起こりうる絶望と
そして
誰にでも起こりうる復活を味わった人(もち監督の事)だからこその説得力

リドリー・スコットの「ただいま」が聞こえた

だから私は「おかえり」と、最後に心でつぶやいた♪