見事な藤岡弘、劇場であった。監督は金田治、ライダー映画の監督で最も古株で最もデタラメな人である。だから、悪玉が何を企んでいるのか分からなくなったり、荼毘に付された本郷猛が甦った理由が分からなかったり、ゴーストたちが何の脈絡もなく歴代ライダーにフォームチェンジしたりしても仕方がないのだ。ただ、言えるのは、この作品は明らかに大きなお友だちをターゲットにしているということだ。ラストの「生きろ」というメッセージは仮面ライダーを見ながら育った私たち、人生の半分以上を生きてきて、疲れ果てた中高年に向かって発せられている。本郷猛=藤岡弘、の大きな愛を感じられる素晴らしい映画だ。