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マイ・ベスト・フレンドのsaorinoのレビュー・感想・評価

マイ・ベスト・フレンド(2015年製作の映画)
4.3
■めんどくさくて、愛おしい。それが女の友情。

女の友情は、ややこしい。女は自分のしあわせをすぐに天秤で測ろうとする。でも、もし友情に"ホンモノ"があるとしたらきっとそれは、恥ずかしくなるほど純粋で無垢なものだ。嬉しいときやツライときにすぐ連絡したり、なんの見返りも求めずに一晩中話を聞いたり。多少自分を犠牲にしてでもチカラになりたい。その想いこそ、真の友情だと私は思う。

クレイジーな親友・ミリーを持ったジェスは、不妊治療を乗り越えて妊娠。だが同じ時期に、ミリーの乳がんが発覚する。二人の幼い子どもとしあわせな家庭を築いていたミリーに訪れた悲劇。親友の危機を通して、女の友情が丹念に描かれる。

"クレイジーな親友"といえば、私にも思い浮かぶ友人がいる。街を歩けばすれ違う男がみんな振り向くような美貌とは裏腹に、やりたいことにまっすぐ突き進む、呆れるほど不器用な性格。そんな彼女と一度だけした大喧嘩も、気づくと何事もなかったかのように元通り。いや、むしろ絆は深まっているのである。なんとも不思議だ。異性だったらそうはいかない。

女の友情は、ときに男勝りだ。恋愛のように甘い蜜の味はしない。汗と涙にまみれて人間くさい。今、私の親友は長年の夢を叶えて海外で働いている。ひとりでショッピングもできない小心者なのに、知らない土地で無我夢中でガンバっている。彼女がいるから私もガンバれる。

女の友情は、やっぱり特別。ややこしくてめんどくさくて、愛おしい。一言ではいえないそのカタチを一つひとつ丁寧に拾い上げていく監督の手腕に号泣しながら、私は心底思った。女に生まれてよかったと。
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