GAKKY

世界から猫が消えたならのGAKKYのレビュー・感想・評価

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)
3.6
2024年 / 再鑑賞

当時、原作小説と合わせて見たのを覚えていて、私の一人映画デビュー作という思い出の一本かつ、私が最後に見た邦画かも。もう8年前の映画という事で驚き。

人と誰かの関係には、その関係を繋ぐ架け橋となる共通の何かが存在している事と、その何かが無ければその誰かとの関係はなかったという尊さを教えてくれるいい物語だと思う。

人はどれだけ頭で分かっていても、様々な事や関係に対して、失ってからじゃ無いと大切だったと心から気づく事ができない生き物で、後悔を抱えながら生きる生き物だと客観的に主観的にも思うけど、この主人公もまたその様々な事を、死と言うゴール地点を目の前にして、もしもこれらが無ければと一つづつ向き合って整理して、その尊い関係を思い返して懐かしみながら、受け入れて歩き出す訳だし、それが重要なんだと教えてくれる一本。それにしても、それはあくまでも主人公の主観的な部分であって、残される者たちの気持ちを考えると居た堪れない。特に濱田岳さんの涙目からこぼれ落ちるシーンは圧巻だった。

それ以上に、個人的に一番印象的なシーンは、母の死を目の前にして、ありがとうと伝えてこれなかった自分に後悔している自分を客観的に眺めながら、その自分を客観視してるもう一人の死を受け入れられない自分に対してありがとうとお礼を言うシーン。昔見た時は3人いる...って感じでしたが印象的です。

この映画で知った映画も数本あって、その中でも海の上のピアニストのセリフ〈何かいい物語があって、それを語る相手がいる。それだけで、人生は捨てたもんじゃない〉は本当に印象的。フリッツラングのメトロポリスもこの映画がなければ出会ってなかったと思う。

正直、演技も台詞回しもとても下手で、色々突っ込みたくなるのは否めないところですが、原作もまた読み返したくなりました。
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