おとうちゃん

おみおくりの作法のおとうちゃんのレビュー・感想・評価

おみおくりの作法(2013年製作の映画)
4.2
神様が描いた美しいおとぎ話

青信号でも左右を確認してから渡る生真面目なジョン・メイは、身寄りのない遺体の親近者を探す役所の民生係。
いわゆる無縁仏となった遺体の誰も参列しない葬儀の弔辞を作り音楽を選ぶ仕事だが、遺体に対する敬意を怠らず、仕事が丁寧すぎて役所を解雇。
最後の仕事は突然亡くなった向かいの住人の調査となってしまい・・・

介護という仕事がら、遺体と関わることの多い私め。
身寄りのない遺体を おみおくりすることも決して珍しいことではない。

もちろん私めがその方々と関わった時間はその方にとってほんの最後の一瞬でしかないのだが、それでも人生の黄昏に関われたことを誇りに思って続けてきた25年。

死者の尊厳を最大限に守り敬意を払う主人公ジョンに、解雇通知を手渡しながら若い上司は言う。
「葬儀は死者のための物じゃない…弔う者が居なければ必要ない」
そしてキッパリと言い切る。
「死者の想いなど、存在しない!」

最もらしく合理的な意見だが、何かが違う。
その考え方には、心がない!

原題『STEAL LIFE』のままの方が良いんじゃないかと思う、ソソらない邦題に惑わされることなく、たくさんの人に観て欲しい。
こんな人が人生の最後に関わってくれたら、人生捨てたもんじゃない。

愚直なまでに真心で生きる主人公。
映画を観ながら涙が頬を伝ったのは何年振りだろう😢
隣で娘もグシュグシュ言っている😭

1100本目…節目のレビューに、この しんみりと厳かで、心温まる感動作を贈りたい。