すずや

ペーパー・タウンのすずやのレビュー・感想・評価

ペーパー・タウン(2015年製作の映画)
4.1
ジョン・グリーンの『ペーパータウン』、本当に大好きな小説で、中高時代に何度も読み返した。先に『さよならを待つふたりのために』(映画の題は『きっと、星のせいじゃない』)が映像化されて、このペーパータウンはどうなるんだろう、と思ってた。全然公開されることもなくて頭の片隅から消えかかってたんだけど、アマプラにあることに数日前に気づいたので観た。
気づけば製作からもう5年以上経ってた。

怖いくらいに原作に忠実な映画。ここまで忠実な映画はそこまで観ないな、と思ったけど、これはジョン・グリーンが初めて脚本を務めた作品だったらしい。そりゃああなるわ。グリーンが一番この物語の見せ方をよく知ってる、と思わずにいられなかった。
ただグリーンの書いた原作のことを思うと色々惜しいな、とも思う。彼の小説はめちゃめちゃ人物の描写が深くて、心情の描写にすごい文字数を使っているから、それが映像だと制限されてしまうのが惜しい。もう少しクエンティンのモノローグを入れて欲しかったかも。観るうちに原作の文章が自然とよみがえってくるけど、原作を読んでない人には伝わらないだろうし。
小説に比べて少し物語がスマートになった印象はある。いくつか削られたけど、小説よりはだいぶとっつきやすくなったんじゃないかな?と感じた。
それでも牛に衝突しかかるシーンが残るのは笑ったけど(笑)

ナット・ウルフ、『きっと、星のせいじゃない』のアイザックもすごく良かったけど、満を持してのジョン・グリーン映画の主役本当に良かったなあ。
キャラクターが皆まさしくこれだ!って感じで。小説で思い浮かべた人物がそのまま映画でも現れた感じ。マーゴもベンもレイダーも彼らにしかできなかったと思う。
アンセル・エルゴートのカメオ出演もありがたい。彼の『きっと、星のせいじゃない』は良かった。
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