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セッションのgolgomanのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

「偉大なドラマーにおれはなる!」と音楽の名門校シェイファー音楽院に入学したアンドリュー(マイルズ・テラー)は、放課後の自主練時にフレッチャー教授(J・K・シモンズ)に出会う。勝手にドラムを触っていた事を咎められると思ったアンドリューは慌てて演奏を止めるが、そんな彼にいくつかの質問と、ルーディメンツ、スウィング、倍テンのリズムをニーマンに強要するフレッチャー教授。これはチャンスと張り切り必死で叩くが、ふと顔を上げるとフレッチャー教授の姿は消えていた。
後日改めてフレッチャー教授から朝練に参加するよう言われ、これは偉大なるドラマーへの第一歩と意気揚々と練習に参加するが、そこからが地獄の始まり。。。
というお話。


2度目の鑑賞。
やっぱりJKシモンズの怪演には圧倒されるね。
初めて観たときは、なんだこの超パワハラクソ爺って思ったけど、
やっぱり音楽に対する情熱は本物で、それを表現するためにああいう暴言だったり狂気の行動に出たりするんだなと。
元教え子のショーンの訃報を聴いた時の涙もやっぱり本物で、彼の才能に対する最大の賛辞だったんだろうね。
まぁでも到底理解できないけども。発奮させるためだからって親の悪口とかは絶対にいかんでしょ。
ものすごく良くまとめると「不器用」。
しかしその情熱に真っ向からぶつかっていったアンドリューもまたすごい。
血まみれで会場に向かうシーンなんか、フレッチャーとは違う意味でイカれてる。
情熱と情熱のぶつかり合い。

あと改めて観て思ったけど、この映画ってセリフ少なめだよね。
表情、仕草、それと音楽や証明やらカット割りなんかで、登場人物の心情やなんかを見せてる。
多くは語らず観客に委ねてる感じ。
FXXKだのの暴言はバンバン出てたけど、あれはもはやBGMだね。


ラストシーンはホントに圧巻。
フレッチャーの意地悪(ほんとそういうレベルじゃない)によって、本番の演奏とは違う楽譜を渡されていたアンドリュー。「私をナメるなよ」「密告したのはお前だろう?」
学院を追われる事になった原因はアンドリューの密告によるものだと思い、
アンドリューをどうにかして凹ませてやりたいと画策し、このバンドにスカウトしたわけだ。
恐ろしくネチコイやつだよフレッチャー。
当然一人だけ演奏についていけずステージから立ち去るアンドリュー。してやったりのフレッチャー。
ステージ袖にはそんな息子を抱きしめる準備して待つパパ。
抱きっ。。。いやしかしちょっと待ってくれパパ!と再度ステージへ向かうアンドリュー。

ドラムセットに目をやるフレッチャー。
「、、、え?」と、加藤茶ばりの2度見をする勢いのフレッチャー。
そしてアンドリューはスティックを持ち演奏を始める。
ウッドベースに合図をし、そしてそれはバンド全体を動かしキャラバンの演奏が始まる。
勝手に演奏を始めたアンドリューに戸惑いと怒りを滲ませるフレッチャー。
「なにやってんだおま、、、」と詰め寄るフレッチャーの顔面前でクラッシュシンバル。(←ここ好き)
始まった演奏を止められない。困惑するフレッチャー。
しかしアンドリューの演奏と気迫に次第に引き込まれていく。
そう、主導権はフレッチャーからアンドリューにうつってしまった。
アンドリューは自分のプレイで、このステージと会場を支配したわけだ。
もうここは何度観ても鳥肌立つ。

完全にアンドリューに圧倒されるフレッチャー。
アンドリューの演奏に引き込まれ、そしていつの間にか指揮を執っているフレッチャー。
執らされたといった方が正しいかも。
スネアのテンポが少しづつ遅くなり、そしてまた徐々にあがっていく。
食い入るようにアンドリューに目をやるフレッチャー。
「そうそうそう、、、いいぞ、、、、そうだ、、、、少しずつあげていけ、、、、そうだいいぞ、、、、」
というフレッチャーの声が聞こえてきそう。

そして二人のアイコンタクトでフィニッシュ。

最初から最後まで、ほんと秀逸な映画。
終わり方がほんとかっこいい。
面白い映画はたくさんあるけど、これほど「熱」を感じる映画にはそうそう巡り会えないと思う。
情熱と狂気は表裏一体であるという事を突きつけられた。
しばらくしたらまた観よう。
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