maria

セッションのmariaのネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

音楽の世界の磁場みたいなものが、視線に同調する緊張感たっぷりのカメラワークとくっきりした人物造形、ぴんと張り詰めた隙の無いストーリー構成によって迫力たっぷりに描かれている。冒頭からラストまで、息をひそめぎゅっと手を握りしめたまま見入っていた。

音楽とは不思議なもので、真剣に向き合えば向き合うほど絶対に苦しめられるし、指導者の厳しい言葉なしには決して上を目指すことができないものでもある。フレッチャーの言うように、"good job"には良い音楽を生む力はない。悔しさと執念がなければ上手くはなれなかったと、自分が音楽をやっていた頃を顧みて思う。

ここまでの過酷な罵声も過激な練習も経験していないのに、あの合奏の場のきゅっと身が縮むような空気感、パートごと、あるいは一人ずつ演奏させられる瞬間のぞっとするほどの緊張感、そして各パートがパシッと決まった演奏のかっこよさ(カメラワークもかっこよかった)は全部知っているものだった。
誰も100%楽しいだけではいられないのに、苦しいのに、演奏すること、ステージに立つことにどうしても執着してしまうのはなぜなのか。それこそが音楽の魅力であり、魔力なんだろうか。
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