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セッションのwacchiのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.3
育成とはどういうことだろうか?
このような問いに直面するたびにこの作品を見たくなる。

本作の核心はやはり後半ライブハウスでのフレッチャーとアンドリューの会話だろう。
「ジョー・ジョーンズがチャーリーパーカーにシンバルを投げず”Good job”と言っていたらバードは生まれていない」
厳しさの必要性を語っておりこれは重い。
フレッチャーのやり方は、厳しさを際立たせる演出のためだと思うが、完全にパワハラであり指導の域を逸脱している。これはアウトだが、だからと言って、厳しさはダメではない。

パワハラを恐れ、ビジネスや教育の現場で厳しい指導をしなくなっている傾向にあると思うが、実際その影響でビジネスの現場では常識さえ身につかないような若者が散見される。
パワハラはダメだが厳しく育てないとどの分野でもおそらく一流は育たない。
大したOutputでもないのに、Good jobと言ってしまったら成長が見込めないのははっきりしている。
若者がダメなのではない。このような社会にしてしまった大人が悪いのだ。
このような現代社会においてどうすればパワハラだとスピークアップされず厳しい指導ができるだろうか?これは難しい問題である。

フレッチャーに厳しく育てられ、数々の罵倒やフェスでの仕打ちから這い上がり、ラスト、一流と認め合うレベルまで昇華した二人だけにわかる世界観は独特の緊張感がみなぎり時を忘れ引き込まれる。
一流にならないとこの特別なシーンは存在しないのである。

傑作だ!
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