さっき『BLUE GIANT』を見て、これって映画館それも音響いいとこで見ないとダメ、ゼッタイなヤツじゃん、、とたいへん後悔していました。。小さな画面で見ると作画のアラが目立つ上、物語としては薄いのでレビューは上げられませんでした。
次に見たのが同じジャズがテーマだ、と思ったこの『セッション』。原題は『Whiplash』鞭打つ、鞭撻の意。有名音楽院の鬼教師が哀れな生徒を鞭打つ物語。ただただ天才的なジャズを奏でることのできる人材を探して、鬼教師がFワード乱発差別用語あり、楽器まで飛ぶ狂気的なシゴキをやる。そこに愛はない。完全なコンプラ違反です。
「悔しい」鬼教師は何度もこの言葉を生徒に吐かせる。努力を怠らないためには「できない」という事に対して悔しいという思いを持つことは大切だ。生半可に「グッドジョブ」と声をかけることは才能の芽を潰すことになるかもしれないのだ。
芸能の道は厳しい。だからこそ才能を開花させるまでシゴキに耐え抜く根性が必要と考える鬼教師。それは信念かもしれないが、そこに生徒への愛は全くない。断じてない。ついていけない生徒は落ちるだけ。
けれど主役アンドリューは絶対負けない。舞台で指揮者の鬼教師を差し置いてまでその場を支配してしまう根性。ラストの演奏は圧巻。汗が飛び血を垂らし、腕がちぎれそうになるまで狂気的にドラムを叩き続ける。それはまさに生命の叫びだ。
アンドリューはよく頑張った。でも、またいつ叩き落されるか分からない。だってそこに愛はないんだもん。やっぱり狂ってるよね、この作品。
けれど何かを為そうとすれば、努力は大切。そこに嘘はない。
演奏シーンを演者や楽器、奏でる手を映すだけで、ジャズを最大限に魅力的に聴かせてしまう、デミアン・チャゼル監督の出世作でした。