はなちゃんさんの映画レビュー・感想・評価

はなちゃん

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教皇選挙(2024年製作の映画)

4.5

権力を持つ人間の「死」とは、後継者争いを意味する。白い袋に包まれて運ばれていく前教皇の上に「CONCLAVE」の文字が大きく映し出されるのは、つまりはそういうことなのだ。

全世界に14億以上の信者を
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スナッチ(2000年製作の映画)

-

俳優さんの顔をあまり分かっていない私にとって群像劇は超難関。『ラブ・アクチュアリー』レベルの有名俳優陣なら別だけど、本作については、ブラッド・ピットとジェイソン・ステイサムしか知らない。。さぁ、どうす>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.2

ソン・ガンホの顔を見ると、本作を思い出す。

その連続殺人事件の始まりは1986年であった。当時の韓国は軍事政権であり、訓練として灯火管制が行われるような北朝鮮との緊張の中、民主化要求のデモが1980
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インビジブル・ゲスト 悪魔の証明(2016年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

怖いのは苦手なため「悪魔」の副題に躊躇。が、フォロワーさんの評価が軒並み高いので見てみることに。怖かったら再生停止すればいいんだし←

結果、面白かったです(^○^) ほぼ事前情報なしで見たことも幸い
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君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.5

北イタリアの青い空。緑濃い果樹園にそよぐ風。古びたレンガの邸宅と明るい緑に塗られた窓。全てが調和した穏やかな舞台。

果樹の木陰のテーブルを家族で囲む。採れたてのプラムは甘酸っぱい。

17才思春期真
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大脱走(1963年製作の映画)

4.5

第二次世界大戦中、ドイツ空軍管轄の捕虜収容所から大規模な脱走を企てた連合軍捕虜たちの実話に基づく物語。

前線に送られる敵国の兵力を削ぐため、連合軍は後方撹乱を目的として、収容所の捕虜たちに脱走を奨励
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太秦ライムライト(2013年製作の映画)

-

劇中時代劇の松方弘樹に目を奪われた。立回りでの刀の振り方、表情の作り方と見せ方、そして存在感。どれをとってもスターのオーラを纏っている。自然に目が惹きつけられる。が、殺陣は一人では成立しない。斬られる>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

4.2

「貴族」とはどんな人を言うのだろう。

この作品の中での「上の階層」とは、例えば代々医者の家系で、外出はタクシー、段飾りのお雛様は姉妹の人数分、娘の結婚相手は「跡継ぎ」と切り離せない、など、一般庶民と
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Flow(2024年製作の映画)

4.5

地球を包む水。水は流れる。柔らかく草木を揺らし優しく音を奏でる。時に激しく大地を覆い轟音となりて全てを押し流す。地球に生きとし生けるもの、水により生かされる。されど水に抱かれし時、たゆたいながら自然に>>続きを読む

ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

4.1

「悪い魔女」が生まれるまで。『オズの魔法使い』前日譚 前編。

のちにオズの国で「北の善い魔女」となるグリンダ(アリアナ・グランデ)と「西の悪い魔女」となるエルファバ(シンシア・エリヴォ)あらゆる意味
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私にふさわしいホテル(2024年製作の映画)

3.6

文壇の重鎮が新人を持ち上げることはあっても、将来にかかわるのに酷評したりするもの?と疑問は浮かぶものの、その重鎮に気に入られなければ賞が貰えなかったり、生き残れない世界なのも本当のところなのだろう。昭>>続きを読む

オズの魔法使(1939年製作の映画)

4.0

1939年制作と言う事にまず驚かされる。オズの国への扉を開けた瞬間のテクニカラーで彩られた世界に当時の観客の驚嘆が目にうかぶよう。

19世紀後半のアメリカの政治、経済事情などを背景に(西部はデフレ経
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運命じゃない人(2004年製作の映画)

4.0

恋人に振られたサラリーマンの宮田、その友人で探偵業の神田、やくざの親分浅井、浅井から逃げてきた宮田の元恋人あゆみ、婚約破棄され傷心の真紀。この5人の一夜の出来事をそれぞれの視点から描くコミカルな群像劇>>続きを読む

Away(2019年製作の映画)

3.7


今年度アカデミー長編アニメーション賞『Flow』鑑賞前に同監督作品を予習。ラトビア出身ギンツ・ジルバロディス監督が3年半かけてひとりで作り上げた3DCGアニメーション。まずこの事実が凄すぎる。

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3時10分、決断のとき(2007年製作の映画)

4.5

舞台である西部開拓時代は米全土で鉄道の建設が盛んで、土地の利権がらみのトラブルやインディアンなど原住民の追い出しもあった。西部の線路の敷設にはゴールドラッシュで西海岸に渡ってきた中国人が駆り出され、ダ>>続きを読む

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.0

どこまでも続く碧い海と地平線。上空を飛ぶ米軍機。世界は広がっているようでいて閉じられた島。そして昭和で時代が止まっているかのような映像。遠くに行きたくてもそこに留まってしまう何かを感じる。

コミュニ
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CUBE(1997年製作の映画)

4.2

閉ざされた立方体の中にひとり、突然理由も分からず放り出されたら?混乱と不安と恐怖しかないだろう。そこに同じ境遇の「仲間」がいることで正気が保てる気がする。

冒頭に目覚めるひとりの男を追うことで謎の立
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フォールガイ(2024年製作の映画)

4.2

め~っちゃスタント愛に溢れた作品です(*^^*)

劇場鑑賞のタイミングを外してしまい、配信を心待ちにしていました。スタント+ライアン・ゴズリング=最高(≧◇≦)

全編にスタントシーンがちりばめられ
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今夜、ロマンス劇場で(2018年製作の映画)

4.0

1950年代、日本映画産業華やかなりし黄金期。幾多の映画が作られ大衆の娯楽となった。やがてTVの台頭と共に勢いは減じ、ある作品は語り継がれ、ある作品は忘れ去られていった。


廃棄寸前の映画フィルム。
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戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.8

この作品を見ていると、神を信じたくなる。

ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験記を基に、ロマン・ポランスキー監督が映画化。

冒頭、重厚な建造物が立ち並ぶ中を市電や車
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L.A.コンフィデンシャル(1997年製作の映画)

4.5

1950年代、アメリカ経済は活況を呈し、郊外には戸建て住宅が建設され高速道路を車が走り、TVなど電化製品が普及して「豊かなアメリカ」が体現されていた時代。ハリウッドも黄金期を経て、TVに対抗し大作映画>>続きを読む

八犬伝(2024年製作の映画)

3.9

歌舞伎小屋の奈落の底での曲亭馬琴(役所広司)と歌舞伎作者の鶴屋南北(立川談春)。このふたりの作劇へのスタンスがぶつかり合う場面。演出も会話も素晴らしく、ここに馬琴の戯作への想いと葛藤が浮かび上がる。>>続きを読む

鬼に訊け 宮大工 西岡常一の遺言(2011年製作の映画)

-

法隆寺の昭和の大修理、法輪寺三重塔や薬師寺金堂、西塔などを復元した宮大工棟梁 西岡常一氏のドキュメンタリー。

以下は西岡家(法隆寺の元棟梁家)に代々伝わる口伝(本映像内 西岡常一氏の書による)。
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ロイドの要心無用(1923年製作の映画)

4.5

サイレント映画時代のチャップリン、キートンに並ぶ世界三大喜劇王ハロルド・ロイドのドタバタ喜劇。

丸縁メガネにカンカン帽がトレードマークのロイド君。都会的だけど、隣に居そうな親しみやすさがロイド君の良
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ブルータリスト(2024年製作の映画)

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ブルータリズム建築は第二次世界大戦後の住宅供給に対応するため大量に安価に住宅を作る方法として発達した「生のコンクリート」などの素材をそのまま意匠とする建築様式。(で合ってるのかな、やや不安。。)
シン
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仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

4.0

江戸時代、関ヶ原の戦後処理や幕府の政権安定までの間、大名家の改易 減封が多々行われ 大勢の浪人を生じさせた。泰平の世では士官も難しく困窮した浪人たちによって治安は悪化した。

本作ではそんな浪人たちの
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仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)

4.0

私は鬼平犯科張も剣客商売も必殺仕事人も見たことがありません。なのにアマプラの「あなたへのお勧め」に映画『仕掛人・藤枝梅安』が何度も上がってきたので見ることに。

そもそも「梅安」に何の知識もない私に話
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12人の優しい日本人(1991年製作の映画)

4.0

日本で裁判員制度が施行される20年近く前に「もしも陪審員制度があったら」と仮定して作られた、密室で繰り広げられる「12人の優しい日本人」による会話劇。三谷幸喜脚本の舞台劇の映画化。元夫を殺したとされる>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.2

郊外の邸宅に住み、家族はみんなインテリの家系。そんな裕福な白人のステレオタイプな「黒人の」小説家が、黒人をステレオタイプに描いた小説が意図せず当たってしまい、矛盾と不満を抱えつつも、それに乗ってしまう>>続きを読む

キサラギ(2007年製作の映画)

4.3

アイドル、如月ミキは何故死んだのか。1周忌に集まった ファンサイトで出会った5人がコミカルに謎を解き明かす密室劇。

[ハンドルネーム]
[家主]=小栗旬  ファンサイトの管理人。誰にでも好かれそうな
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杉山くんたちは夜専門(2005年製作の映画)

4.3

面白いです、この作品。

劇団おばけおばけの戯曲を映像化(映画化)したものだそうで、ほとんど演劇を見たことのない私でもとても楽しめました。というか好みのど真ん中かもしれない。

とある小さなネジ工場の
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沈黙の戦艦(1992年製作の映画)

4.0

スティーブン・セガールの作品初めて見ました(^^; 本作と『暴走特急』を。こちらの作品が好みです。

セガールってこんなに知的な雰囲気の人だったんだ。。彼の武闘一辺倒な作品かと思いきや、最初の登場はな
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野生の島のロズ(2024年製作の映画)

4.6

これはもう、素晴らしくてボロ泣きしてしまった。

子供が巣立った母親にストレートに刺さる。そして そこに留まらず、物語がおそろしくスピーディーに、かつ縦横無尽に展開していくその迫力に圧倒された。

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ファーストキス 1ST KISS(2025年製作の映画)

3.7

私は泣かせにかかってくる邦画がつくづく苦手なのだと思い知らされた。フィルマの評価が好調なので期待値を上げ過ぎたのも原因なのだが。

ただし松たか子はとにかく魅力的。中年のおばさんだがそんなことは関係な
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男たちの挽歌 II(1987年製作の映画)

4.0

話の流れからいくと主役はおでこの広いおじさんだと思うが、どう見てもチョウ・ユンファが1番目立ってる。ロマンスグレイのオジ様もなかなかイケてるがやっぱりユンファ。

1作目のニセ札燃やしてタバコに火をつ
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Mr.&Mrs. スミス(2005年製作の映画)

4.0

〇十年前「結婚前は両目を開いて相手を見るが、結婚後は片目で見る事」という祝辞を頂いた。末永く夫婦でいるための秘訣であると思う。けれど、本作の主人公スミス夫妻は 両目を閉じて結ばれてしまい、結婚後にそれ>>続きを読む