しろやぎ

セッションのしろやぎのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.0
目標、夢を実現するためには『血の滲むような努力が必要』と、よく表現される。
この作品では、『血が滴り、果ては血まみれになっても夢に食らいつく気迫と狂気』を見せつけられた。

場面ごと、人物ごとに変化する、画の明暗や照明の当たり具合が巧妙だった。映像に引き付けられるし、観る者の心象へ効果的に作用している感じがした。さながら鬼軍曹のようなフレッチャー教授が、元教え子の不幸に対して涙する場面がある。不幸の本当の理由を教授ならば知っているはずだろうに、涙するような人物か?と、観ている最中には違和感を覚えた。
が、観賞後には、教え子を思って涙していたのではないのだろうという結論に至った。
『今は死んでいる』と自ら表現したjazz音楽再興のための微かな光が、ひとつ消えたことに対して涙していたのかと。

アンドリューも、フレッチャー教授も、jazzに傾ける熱量が常軌を逸している。
観終えた時、体温が上がり、汗ばんでいる自分に気がついた。
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