切り干し大根

セッションの切り干し大根のネタバレレビュー・内容・結末

セッション(2014年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

凄い映画だった…
これほどまで余韻が残る映画は久しぶりに観た。


*ここからは個人的見解を含みます


よく血の滲むような努力などと言うが、ニーマンは本当に血が出るまでドラム叩いて努力していて、それは目を背けたくなるほどだった。
練習しなきゃ、追いつけない。
練習しなきゃ、偉大にはなれない。

そんな脅迫概念がニーマン自身を追いつめていった。
(ニーマン自身の傲慢さや、プライドの高さも問題があった)


事故に遭いながらもフラフラで会場へ向かうがフレッチャーに終わりの宣言をされて
今までの努力が無にされた気がしてニーマンは手を出し退学になった。
何も無くなったと思っていたニーマンだが、小さい頃にドラムを叩いていたビデオを見て自分がドラムが、音楽が好きなことを思い出せて(フレッチャーみたいな道具として使う者ではないと)決別出来たのではないだろうか。

再びフレッチャーとニーマンは再開するがそれはフレッチャーが仕掛けた罠だった。
(譜面を変えたのは敵意丸出しの故意だったとここでは解釈する)
もう音楽の世界には二度と失意に落ちたニーマン。
復讐を遂げたフレッチャーは満足そうな笑顔でニーマンを一瞥する。
ニーマンは舞台から降り父親に抱きしめられ、ここで帰るのかと思いきや舞台に戻り今度は拳ではなくドラムでフレッチャーと殴り合いをする。

ニーマンを何をそう変えさせたのか?
父親に何か言われたのか?
音楽好きな事を思い出し雰囲気も元に戻ったおかげなのか?
それはニーマンにしかわからない。
だが、フレッチャーと戦うニーマンを見ていたらそんなものはどうでも良いと思えた。

ここでフレッチャーが憎んでいたニーマンを手助けをするのだ。
鳥肌がたった。
実ったのだ、ニーマンの努力が。
そして何より師弟関係が。

ラスト9分は凄い。
この演奏をずっと見ていたい。
終わらないで欲しい。
そう思わせるほどただただ圧巻だった。


(観客の拍手がなくすぐにエンドロールにいくのはフレッチャーが観客も道具として扱っているからのではないと推測される。)
切り干し大根

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