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セッションのkazzのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
5.0
人は何かを必ず越えなくてはならない。時にそれは親であったり、恩師であったり、むろん自分自身も。

WhiplashとはWhipが鞭でlashが打つである。つまり、猛打の如く鞭で打つ行為である。
読んで字の如く本作は、whiplashだ。
同時にその時の鞭のしなりをも表現しているように思う。そのしなりや寄せては返す動きやその反復を表すように主人公は、ダメかと思えば戻ってくる。

繰り返し破れる瘡蓋の末に人の掌が硬くなるように、我々の心も強くなる。
倒れては立ち上がる。それを心的に繰り返し、その末に超えるべき何かを越え、人はより優れた人になる。

本作の主人公は、自らを越え、父親を越え、そして恩師をも越えていく。その瞬間をドラムを叩くアクションのみでドラマチックに描いてみせた本作は、まさしく映画の可能性を越えていった。
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