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百日紅 Miss HOKUSAIのtmのレビュー・感想・評価

百日紅 Miss HOKUSAI(2014年製作の映画)
4.0
葛飾北斎とその娘であるお栄の物語。言うまでもなく北斎は日本の歴史を代表ふる絵師であり、お栄もまた絵の才能を発揮していたと言われている。絵はいわば、目でみる視覚の芸術な訳だが、その達人とも言うべきお栄たちの物語において、盲目の妹、お猶の存在は重要だろう。見えないながらもお猶は美しく純粋な感性の持ち主であり、お栄の問いに対して言葉ではなくあえて頷いて意思表示をしたりする場面はお猶なりの感性がうかがえる。そんなお猶の存在はお栄の創作、また人生にとって大きな意味を持っている。終盤それを象徴するようなシーンがあり、泣ける。物語の時間軸は少しわかりづらいが、今作は物語の進行自体にはそこまで重きを置いていないように思える。当時の日常や怪談的な部分の描写により力を注いでいるように感じた。
アニメ映画の長所が如何なく活かされ、三次元では不自然に思えてしまう表現も、むしろ魅力的に描かれている。個人的には、「駆込み女と駆出し男」と合わせて観て、古き良き江戸時代を感じるのもいいと思う。
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