イチロヲ

OL日記 濡れた札束のイチロヲのレビュー・感想・評価

OL日記 濡れた札束(1974年製作の映画)
4.0
情夫(堂下かづき)との肉体関係に溺れている女性銀行員(中島葵)が、盲目的な恋愛に引きずられながら、銀行の公金を横領してしまう。実際に発生した事件を下敷きにしている、日活ロマンポルノ。

女の歓びを知らないままで適齢期を過ぎた女性が、高度なテクニックを誇っている情夫により、肉欲の世界へと落とされてしまう。情夫は女性のことを性処理の道具、または金づるとしか思っていない性悪人間として登場する。

主演女優の中島葵が、ほとんどスッピン状態で素朴な女性銀行員を熱演。悪い男に献身してしまう哀しい性(さが)が誠実に描写されており、同時に「プライベートが見えてこない同僚の性生活」というエロスを感受することもできる。

後半部に入ると、視点がどんどん上がっていき、時代に翻弄される女性の幸福論へと転調。セックス中の男が耳元で囁く「ずっと一緒に居ようね」の決まり文句が、女性からすると一種のホラーであることが理解できる(男女逆転の場合もあり)。
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