ぼっちザうぉっちゃー

アバター:ウェイ・オブ・ウォーターのぼっちザうぉっちゃーのレビュー・感想・評価

4.3
ごめんなさい正直嘗めてました。

謝ったそばから言い訳させてもらうとすれば、そもそも3D自体が一作目以来の十数年ぶりで予想もつかず、そして前日の前作復習でストーリー全然好きじゃねぇとか思っていて、そこそこ低めのハードル、というかほんの少し浮いた腰の勢いそのままに興味本位で、という気持ちで観賞した。

ちょっと、絶句しました。あれですね。もうはっきり言って、一作目は軽い小手調べだったんですね。パンドラの世界観の一部を伝える企画書のための、ちょっと大々的なプロモーションみたいなもんだったんですね。大御見逸れいたしましました。

もうとにかく3Dの進化が尋常じゃない。前回の体験覚えてないので進化も何も分かったもんじゃないけれど、それでも確実に一つ二つ次元が押し進んでいることは間違いないはずだ。「めっちゃリアル」とかの次元でなくもはや「はっきり在る」なのだ。
もし2Dで、そしてあまつさえ配信で観ようものなら魅力は半減。ゼロ。いいやそれじゃ足りないむしろマイナスだ。ただ時計の長針三周分の時間を損失するだけになるだろう。

では具体的に何がそこまですごかったのかと言えばそれはズバリ「光」、そして「水」の表現だ。
光に関して驚いたのは、まず純粋に「眩しい」と感じたこと。
それは日光の差し込みや逆光、それらが反射して拡散する光の円環、などのいわゆる演出され画面の上に乗っかった「眩しさ」のテクスチャを意味しない。それは実際に「眩しかった」のだ。私は「眩しさ」を観たのではなく、ただ「眩しい」と感じたのだ。現実で頭上に太陽が輝くときと同じように。
そして何よりかにより度肝を抜かれたのは、「水」。もう勝手に断言してしまおう。ジェームズ・キャメロンはこれがしたかったのだ。そう言い切ってしまえるほど「水表現」が超絶に圧倒的。特に海洋。
私は軽度の海洋恐怖症みたいなところがあるのだが、今作の海を観て体感したのはほとんどそれに近い「恐怖」、そして「畏怖」の感覚だった。仰々しい言い方をすれば、もともと架空であり、そしてさらに画面上である、「存在しないはずの生命の鼓動」を確かに感じたのである。個人的に解像度という点で言えば、まだまだ未完成なVRやARなどを遥かに凌ぐのではないかと思った。

そしてこういった3Dの映像表現もさることながら、新たに登場した海洋生物イルに跨って海面を跳び、潜りを繰り返すアクション表現も全く観たことない面白さがあって、とんでもなく楽しかった。あと単純にイクランの厨二ビジュアル激推し人間なので派生動物みたいなの出てきてめっちゃ嬉しい。パンドラの生態系をもっともっと見たい聞きたいこの身で感じたい。

またストーリーの方は一作目よりかなり良いという印象。新世界に胸を躍らせ未知の世界と交流する、というような前作におけるワクワクする感じは無いが、「因縁」そしてその渦中の「家族」という、より古典的なドラマ仕立てが個人的に入り込みやすくて、魅せられた世界との調和の具合も良かった。前作で引っかかったノーブルサベージな部分にも、一部私怨も持ち合わせて人を殺すような一面を逆側(スパイダー)から見せることで白黒の境界を滲ませる曖昧さが生まれていてマシになっていた気がする。


正直ここまでのものを見せられると、全五部作とかいうのに辟易していた気持ちも何処へやら。
もうどんどん、国家予算並みの制作費つぎ込んで「めっちゃすごいえいぞうつくる」っていう大人の遊びをやっちゃってください。私はただゆるやかに、その“ウェイ・オブ・ウォーター”に身を任せたいと思います。