◆あらすじ◆
客室乗務員のレナは恋人ダニエルのいるチリに訪れ、彼との再会を喜ぶが、その後にクーデターが勃発し、ダニエルが反体制の人間として捕らえられる。レナはダニエルを救うためにダニエルが収容された「コロニア・ディグニタ」に単身飛び込むが、その組織はシェーファーが暴力で支配する拷問施設だった。
◆感想◆
チリで起きたクーデターに巻き込まれ、拷問施設に収容された恋人を救うために単身突入した女性の姿を描く作品であり、これが実話に基づいた作品であることがとても怖く感じました。
主人公のレナ(エマ・ワトソン)は恋人に会うために治安の不安なチリへ入国したり、施設の正体も分からないのに単独で突っ込んだりとかなりぶっ飛んだ性格の持ち主であり、度胸があるというより無謀な感じが否めませんでした。彼女の行為の一つ一つが危うくて、ヒヤヒヤしました。
一方、恋人のダニエル(ダニエル・ブリュール)はジャーナリストで政治活動にも参加しており、報道に携わる人間としての意識の高さを感じました。しかし、それが反体制として軍事政権に捕縛され、拷問施設に収容され、悲劇的に感じました。それでも冷静さを持っていて常に考えて行動している感じがして、レナとは正反対だと思いました。
本作のボスであるパウル・シェーファー(ミカエル・ニクヴィスト)は口先では神や悪魔などとベラベラと屁理屈をこねますが、結局は暴力によって相手を押さえつける人物で、なぜ彼が支配者となり得たのか興味が湧きました。組織としての統率力の強さが異常で、逃げる方法が私には思いつきませんでした。
ストーリーとしてレナが拷問施設に入ってから「~日目」という感じで表示されるのですが、途中で日数が大きく飛んだため、見えないところでずっとこの地獄に居続けたことが分かって、ゾクッとしました。
終盤は緊迫感が尋常じゃなくて、最後までハラハラしました。
人の暴力による支配の怖さを実感できる作品で観て良かったと思いました。
鑑賞日:2024年3月13日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2023年4月17日)