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コロニアのnaoズfirmのレビュー・感想・評価

コロニア(2015年製作の映画)
3.4

チリの負の歴史🎬

ストーリーは南米史上最悪の独裁政権と言われたピノチェト政権時代、2万8千人が拷問され、約3千人が殺害された実話を基にした作品です。そしてその極秘拷問施設として使用されたのがコロニア・ディグニダで敷地は有刺鉄線のフェンスで囲まれ、住人たちはしつけと称して日常的に暴力を受けていました。厳しい環境でしたが、警備体制が厳しかったため、40年間で脱出できたのはわずか5人という黒い歴史があります。神の名のもとに自分の思い通りに人を操り、特に女性に対しての扱いはひどいものがありました。男子との恋愛をすれば淫乱としてののしられ、男性集会の中で罵倒+暴力されるシーンは本当に辛かったです。また、農業も結局は行き過ぎると強制労働になるのでじゃがいも畑で倒れるレナを見て過酷な現実を目の辺りにしました。しかしその現実を命がけで脱出し、世界に写真を公表した二人のドイツ人は素晴らしいです。そしてここが一番大事なのが舞台の描写です。史実である以上コロニアの描写は徹底的にリアルであるべきだと思います。しかし、暴力性をもつカルト的コミュニティのはずのコロニアの描写も薄っぺらく、暴力の描き方が甘かったと思いました。電気拷問は一番暴力性の酷さがよく出ているシーンですがそこから急激に失速しましたね。暴力を見せることを映画が意図的に避けるようになっています。最低限暴力は逃げずに描かないと史実を基にしたとは言えないと思いました。
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