2001年に起きたテチャン号事件の映画化という話だけど、どこまでが事実なのかは解らない。
ただ事実に加えて、韓国映画特有の陰鬱な空気が"船という密室劇"に途轍もないリアリティと緊迫感を生み出していたと思う。
チュルジュ以下船員には止むに止まれず犯罪行為に手を出した罪悪感と恐怖感があった。
密航者たちには犯罪を犯してでも手に入れたい未来があった。
温度差は乖離していたけれど、どちらにも共通していたのは“生”への渇望だった。
狂った歯車は止められなかった。
"希望"から"絶望"へ切り替わった歯車は無限に無間へ落ちていく。
観ているこちらは共感も出来ず、ただただ圧倒されるだけだった。
一転したエンディングは、事件から6年後。
とある食堂での一コマ―――そこに希望があった。
それも・・・・。